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系統用蓄電池の投資とは?投資額・3つの形と確かめること
系統用蓄電池の投資とは、蓄電所という設備や事業に資金を出し、電力の市場で得る収入で回収する投資のことです。
高圧・2MW・8MWh級の案件では、土地や開発の費用まで含めた総額が6億円台後半〜7億円台になります(チクデン調べ、2026年9月時点)。
回収年数と利回りは、建設費や市場の条件といった前提で大きく変わります。
2025年3月に経済産業省の検討会が公開した試算でも、20年間のIRR(お金が戻る時期まで含めた利回り)の幅はマイナス12.0%からプラス23.6%です。
この記事では、投資額と回収の見通しの見方を整理したうえで、蓄電所を持つ3つの投資の形と形ごとに確かめたい点を解説します。
対象は、高圧の系統用蓄電池への投資を検討している法人の方です。

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|---|---|
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| 対応可能エリア | 日本全国 |
| 可能マッチング | ・購入者(投資家・事業会社)⇔ 販売者(案件・蓄電所) ・土地所有者 ⇔ EPC施工会社 ・土地権利販売者 ⇔ 土地権利購入者 ・アグリゲーター・電池メーカーなどの業者マッチング |
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系統用蓄電池の投資とは

系統用蓄電池の投資とは、電力系統につないだ蓄電所の設備や事業に資金を出し、電気の売買と電力市場の報酬で回収する投資のことです。
収入は固定価格ではなく、3つの電力市場の価格と運用の成果で決まります。
投資の対象
系統用蓄電池の投資で資金を出す先は2つで、蓄電所の設備そのものと、開発中の事業の権利です。
どちらも自社で持つため、運転の手配から収入の管理まで自社で判断します。
蓄電所の事業を営む会社やファンドなどに出資する形もありますが、この記事では蓄電所を持つ形を扱います。
どの段階の蓄電所を持つかで、必要な資金の規模や負うリスクも変わります。
形ごとの違いは、系統用蓄電池に投資する3つの形で比べています。
収入の仕組み
系統用蓄電池の収入源は、卸電力市場・需給調整市場・容量市場の3つです(2026年11月時点)。
卸電力市場では、安い時間に充電した電気を高い時間に売り、その価格差が収入になります。
需給調整市場は電気の需要と供給のずれを埋める力を、容量市場は将来の供給力を取引する市場で、どちらも待機や供給の約束に対して報酬が払われる仕組みです。
市場への入札や売買は、自社で行うほか、アグリゲーター(電力の取引を代行する事業者)に任せる方法もあります。
市場そのものも、これから広がると見込まれています。
国が示した見通しでは、国内の系統用蓄電池の導入量は、2030年に累計14.1〜23.8GWh程度です(2024年5月時点)。
※参照:需給調整市場とは(取引概要)/電力需給調整力取引所
※参照:かいせつ容量市場スペシャルサイト/電力広域的運営推進機関
※参照:系統用蓄電池の現状と課題(2024年5月29日)/資源エネルギー庁
系統用蓄電池投資の金額と回収の見通し

高圧の系統用蓄電池への投資額は数億円規模で(チクデン調べ、2026年9月時点)、回収年数と利回りは前提によって大きく変わります。
回収の見通しは1つの数字で判断せず、前提とあわせて見ます。
投資額の目安
高圧・2MW・8MWh級の系統用蓄電池に投資する場合、土地や開発の費用まで含めた案件の総額は6億円台後半〜7億円台です(チクデン調べ、2026年9月時点)。
この額は、チクデンが確認した案件を参考にした目安です。
容量や土地、系統につなぐ工事の条件が違えば、総額も変わります。
費用の内訳と運用費
高圧・2MW・8MWh級の系統用蓄電池では、初期費用のほかに年間1,900万円規模の運用費がかかります(チクデン調べ、2026年9月時点)。
初期費用を1kWhあたりに直した額と、運用費の内訳の目安は次のとおりです。
| 項目(高圧・2MW・8MWh級) | 目安(チクデン調べ、2026年9月時点) |
|---|---|
| 初期費用(1kWhあたり) | 約8.8万円 |
| 運用費のうち需給管理費用(運用会社に払う費用) | 約半分 |
| 運用費のうち設備の保守・税金・資産管理の費用 | 残りの約半分 |
※総額と1kWhあたりの額は、チクデンが確認した案件(2MW・7.5MWh前後)を参考にした目安です。
8MWhなら約7億円になるため、総額は6億円台後半〜7億円台と見ています。
回収年数と利回りの見方
系統用蓄電池の20年間のIRRは、経済産業省の検討会の試算でもマイナス12.0%からプラス23.6%まで分かれます(2026年11月時点の公開情報)。
2025年3月にまとめられたこの試算では、出力の3時間分の容量を持つ蓄電池が、毎年1%ずつ容量を落としながら20年間動くと想定しています。
建設費は1kWhあたり3万〜8万円の6通りに置き、補助金を差し引く前提は書かれていません。
検討会は、卸電力市場だけで運用する場合と、需給調整市場だけで運用する場合を別々に試算しました。
建設費の6通りに加え、卸電力市場の試算では市場価格の値差を、需給調整市場の試算では応札価格と1日の応札回数を変えています。
需給調整市場の試算は、応札の6割が落札される前提です。
最も低いマイナス12.0%は、建設費8万円で、値差が小さかった2019年度の市場価格で運用した場合の結果になります。
最も高いプラス23.6%は、建設費3万円で、ほかの電源の足元の応札価格(5円)の3倍にあたる15円で1日2回応札した場合です。
提案資料の利回りを見るときは、まず表面利回り・実質利回り・IRRのどれかを確かめます。
表面利回りは運用費を引く前の収入で計算するため、同じ案件なら実質利回りより高い数字です。
そのうえで、容量・稼働率(充放電や応札の回数)・市場価格の想定・補助金の有無の4つの前提を見比べます。
売り手の資料の利回りは、前提の置き方によって、公開されている試算より高く見えることがあります。
※参照:2024年度 定置用蓄電システム普及拡大検討会の結果とりまとめ(2025年3月7日、作成:三菱総合研究所)p.35・38・44・45/経済産業省
太陽光発電投資との違い

系統用蓄電池投資と太陽光発電投資の大きな違いは、系統用蓄電池の収入が固定価格ではなく、電力市場の価格と運用の契約で決まる点です(2026年11月時点の制度)。
FITの太陽光発電投資と比べると、違いは次の5項目に表れます。
| 項目 | 太陽光発電投資(FIT) | 系統用蓄電池投資 |
|---|---|---|
| 収入の決まり方 | 国が定めた価格で、決まった期間買い取られる | 市場の価格と運用の成果で決まる |
| 収入の見通しが立つ時点 | 認定を受け、買取価格が決まった時点 | 運用を任せる契約まで決まった時点 |
| 運用を任せる相手 | 市場での運用は要らない | アグリゲーターなどの運用会社 |
| 設備の劣化と交換 | 発電量の低下を見込む | 容量の低下と、電池の交換・増設の費用を見込む |
| 国の制度 | FIT・FIPの対象 | FIT・FIPの対象外 |
2026年11月時点の制度では、地上に設置する10kW以上の太陽光発電は、2027年度以降はFIT・FIPの新規認定の対象になりません。
例外は、2026年度の入札で落札した案件です。
系統用蓄電池の収入を受け取る契約の形には、運用会社に市場での運用を任せる運用委託や、トーリング契約などがあります。
トーリング契約は、蓄電所の運用の権利を一定期間相手方に渡し、その代わりに利用料を受け取る契約です。
どの契約を選ぶかで、市場の値動きの影響を誰が受けるかが変わります。
※参照:再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法 第2条(2026年11月時点)/e-Gov法令検索
※参照:再生可能エネルギーFIT・FIP制度ガイドブック2026 p.4・10/資源エネルギー庁
系統用蓄電池に投資する3つの形

系統用蓄電池に投資する形は3つで、自社での開発・開発途中の案件の購入・完成した蓄電所の購入です。
どの形も、蓄電所を自社で持ち、電力市場で得る収入を受け取ります。
3つの形は、必要な資金、運転開始までの期間、自社で負うリスクがそれぞれ違います。
蓄電所を持たずに、蓄電所の事業を営む会社の株式やファンド、クラウドファンディングなどに資金を出す形もあります。
この記事で扱うのは、蓄電所を持って収入を得る3つの形です。
3つの形を項目ごとに比べると、次のとおりです。
| 項目 | 自社で開発する | 開発途中の案件を買う | 完成した蓄電所を買う |
|---|---|---|---|
| 必要な資金の規模感 | 総額を自社で手当てする(高圧で数億円) | 権利の代金と、その後の建設費 | 完成した設備の代金 |
| 運転開始までの期間 | 最も長い(増強工事の有無で年単位の差) | 残りの工程の分(案件の段階による) | 運転中なら取得してすぐ収入が入る |
| 主に負うリスク | 系統接続の遅れ・市場価格・制度・劣化と故障 | 系統接続の遅れ(段階による)・市場価格・制度・劣化と故障 | 市場価格・制度・劣化と故障 |
| 自分でやること | 土地探し・系統の接続の手続き・施工会社の選定・運用の契約 | 残りの手続きと建設、運用の契約 | 運用の契約の引き継ぎと設備の管理 |
| 向く会社 | 開発に人員と時間をかけられる会社 | 開発の手間を減らし、運転開始を早めたい会社 | 収入の実績を見て判断したい会社 |
1.自社で開発する
自社で開発する形は、土地探しから系統の接続の手続き、施工会社の選定までを自社で進め、蓄電所を一から持つ方法です。
施工会社は、EPC(設計・調達・建設をまとめて請け負う会社)から選びます。
再生可能エネルギーの発電所を開発してきた会社や、使える土地を持つ会社に向いています。
運転開始までの期間と系統につなぐ費用は、接続検討(系統につなげるかと工事費を一般送配電事業者に調べてもらう手続き)の回答を受けるまで分かりません。
回答は、2026年11月時点のルールでは、検討開始から原則3か月以内に返ってきます。
ただし、送電網の増強工事が要る地域では、工事だけで年単位の期間が必要です。
たとえば関西電力送配電は、増強工事が要る地域の工期を「概ね工期4年~10年以上」としています。
※参照:発電設備等系統アクセスの流れ(2026年11月時点)/電力広域的運営推進機関
※参照:系統用蓄電池のお申込みについて(2026年11月時点)/関西電力送配電
2.開発途中の案件を買う
開発途中の案件の購入では、開発した会社が進めてきた事業を途中の段階から引き継ぎます。
引き継ぐ中身は、系統につなぐための権利と、土地の使用権原(土地を使う権利)の2つです。
系統につなぐための権利とは、接続検討の回答や連系承諾(一般送配電事業者が系統への接続を認めること)を指します。
自社で一から開発する人員はないものの、運転開始までの期間を短くしたい会社に向く形です。
案件の値段は、開発がどの段階まで進んでいるかで変わります。
そのため、書類がそろっているか、残りの工程に何があるかを、投資の形ごとに確かめることの4点で見てから値段を比べます。
3.完成した蓄電所を買う
完成した蓄電所を買う形は、運転を始めた、または始める直前の設備を、運用の契約とあわせて引き継ぐ方法です。
系統接続の手続きを終えているため、接続の遅れのリスクを負わずに済みます。
収入の実績や運用の契約の中身を見てから判断したい会社に向いています。
注意したいのは、運転中の収入の実績が過去の市場価格のもとでの数字だという点です。
これからの収入を約束するものではないため、市場価格が下がった場合の収入もあわせて確かめます。
また、設備の保証と運用の契約が引き継げるか、それぞれ残りの期間がどれだけあるかも、値段の前提になります。
投資の形ごとに確かめること

系統用蓄電池に投資する前には、系統の接続条件・土地の使用権原(土地を使う権利)・収入の契約・設備の保証と保守の4つを確かめます。
投資の進め方は、「方針を決める」「形を選ぶ」「案件の資料で前提を確かめる」「資金を手当てする」「契約する」の5段階です。
案件の引き継ぎの条件や収入の受け取り方は契約書ごとに違うため、契約書の中身は弁護士に、税の扱いは税理士に確かめてから契約します。
提案や案件を受けたら、4つの点の資料を求め、収支の前提が崩れていないかを見ます。
3つの形ごとに、主に確かめる点に○を付けると次のとおりです。
| 確かめる点 | 自社で開発する | 開発途中の案件を買う | 完成した蓄電所を買う |
|---|---|---|---|
| 系統の接続条件 | ○ | ○ | ― |
| 土地の使用権原 | ○ | ○ | ○ |
| 収入の契約 | ○ | ○ | ○ |
| 設備の保証と保守 | ○ | ○ | ○ |
1.系統の接続条件
系統の接続条件では、接続検討の回答の中身・連系承諾の有無・工事費負担金の額・連系の予定時期の4つを確かめます。
工事費負担金は、系統につなぐための工事費のうち、事業者が負担する額を指します。
回答書に書かれた工事費負担金や工期が収支計画の前提と合っているかが要点です。
確かめないまま進めると、工事費の増加や運転開始の遅れによる収入の減少を、投資した側が負います。
2.土地の使用権原
土地の使用権原は、土地を所有しているか借りているかと、借りている場合の期間と更新の条件を見ます。
2026年10月1日以降に受け付ける高圧以上の契約申込みでは、土地の使用権原を示す書類の提出が求められるようになりました。
土地を借りる期間が事業の期間より短いと、途中で土地を使えなくなるおそれがあり、そのリスクは設備の持ち主が負います。
※参照:発電設備等に関する系統アクセスの流れの更新について(2026年9月28日)/電力広域的運営推進機関
※参照:発電設備等の契約申込みにおける事業用地の使用権原の提出要件化について(2026年9月30日)/北海道電力ネットワーク
3.収入の契約
収入の契約では、アグリゲーターへの運用委託かトーリング契約か、収入の最低保証があるかの2点を確かめます。
運用委託は、運用会社が持ち主に代わって市場で運用する契約で、市場の値動きの影響を受けるのは持ち主です。
一方、トーリング契約では、運用の権利を受け取った相手方が自らの判断で市場で運用します。
相手方はアグリゲーターなどで、持ち主には契約で決めた利用料(トーリング料)を払います。
そのため、持ち主の収入は市場の値動きに左右されにくくなりますが、市場が良いときの上振れは受け取れません。
ただし、持ち主と相手方の取り分は契約の内容によって変わるため、利用料の条件は契約書で確かめます。
完成した蓄電所を買う場合は、今の契約を引き継げるか、残りの契約期間と途中で解約する条件も見ておきます。
4.設備の保証と保守
設備については、電池の容量保証・PCSの保証・保守の範囲と費用の3つが確認の対象です。
容量保証は電池の容量の低下に対する保証で、PCSは直流と交流を変換する装置を指します。
保証の期間や対象が収支計画の期間より短いと、電池の交換や故障の修理の費用は持ち主が負担します。
保守の費用が運用費に入っているかも、あわせて確かめたい点です。
系統用蓄電池投資のよくある質問
個人でも系統用蓄電池に投資できますか?
個人でも法人でも、高圧や低圧の蓄電所を買い、電力市場で得る収入を受け取る形で投資できます。
ただし、高圧の蓄電所を持つには、数億円規模の資金と、市場での運用の手配が必要です。
低圧の蓄電所への投資は、次の質問で取り上げています。
低圧なら少額で投資できますか?
低圧(50kW未満)の系統用蓄電池は、高圧より投資額が小さく、少ない資金で始められる場合があります。
ただし、規模も収入の得方も高圧とは違い、この記事の金額や形の比較はそのまま当てはまりません。
系統用蓄電池の投資に融資は使えますか?
系統用蓄電池の投資には、融資を使える場合があります。
運用の権利をエネルギー会社に渡す契約を結んだ事業に、プロジェクトファイナンスが組まれた例もあります(2024年4月公表)。
プロジェクトファイナンスは、事業が生む収入を返済の元手にする融資です。
審査では、自己資金の割合や会社の信用、収入の見通しが見られます。
補助金は年度ごとに公募の有無と条件が変わるため、申請できる時期かどうかも確認が必要です。
※参照:本邦系統用蓄電池事業に対する当行初のプロジェクトファイナンス組成について(2024年4月24日)/三菱UFJ銀行
系統用蓄電池投資についてまとめ
系統用蓄電池への投資を検討するときは、まず自社が負えるリスクと資金の範囲を決め、3つの形から1つに絞ります。
形が決まったら提案や案件の資料を取り寄せ、投資の形ごとに確かめることの4点に照らして前提を見直します。
資料に書かれていない前提を洗い出し、提案した会社に確かめるのが次の一歩です。
チクデンでは、次のようなご相談に対応しています。
- 高圧や低圧の蓄電所の購入を検討しているが、案件を販売している会社を紹介してほしい
- 土地・権利は持っているが、開発するためのEPC事業者を紹介してほしい
土地・権利をお持ちの方のご相談も受けています。
