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低圧系統用蓄電池とは?2026年度の制度変更と始める前の4つの条件
2026年度から、50kW未満の「低圧系統用蓄電池」が需給調整市場に参加できるようになりました。数億円規模だった蓄電所事業に、遊休地を持つ個人や中小企業が入れる道が開いたことになります。
この記事では、2026年度に実際に何が変わったのか、収益はどこから生まれるのか、契約の前に確認しておきたい4つの条件を整理しました。>>2026年度に何が変わったか
「2026年度に解禁」という言葉だけが先に広がっていますが、参加できる条件は計測の方法で分かれます。
何が決まっていて、何がまだ整っていないのかを、公的機関が公表した資料から確認していきます。
記載の内容は2026年9月時点のものです。

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低圧系統用蓄電池とは
低圧系統用蓄電池とは、連系出力50kW未満で電力系統につなぐ蓄電池です。
「低圧蓄電所」と呼ばれることもあります。
家庭用や産業用の蓄電池との違いは、ためた電気をどこへ送るかという点です。
家庭用と産業用は、建物の中で使う電気をまかなうために置きます。
低圧系統用蓄電池は、ためた電気を電力系統へ送り、電力市場で取引するために置く設備です。
「低圧」はもともと電圧の区分で、交流600V以下が低圧にあたります。
この区分は電気設備に関する技術基準を定める省令の第2条にあり、600Vを超え7,000V以下が高圧、7,000V超が特別高圧です。
| 区分 | 電圧(交流) | 連系出力の目安 | 主な事業の姿 |
|---|---|---|---|
| 低圧 | 600V以下 | 50kW未満 | 遊休地や駐車場の一角に1〜数基。個人・中小企業も入る |
| 高圧 | 600V超〜7,000V以下 | 50kW以上〜2,000kW未満 | 数千kWh級。総額は億円の規模 |
| 特別高圧 | 7,000V超 | 2,000kW以上 | 大規模。電力会社や大手事業者が中心 |
低圧かどうかを決めるのは連系出力(kW)であり、蓄電容量(kWh)ではありません。
同じ100kWhの蓄電池でも、パワーコンディショナの出力を50kW未満に抑えれば低圧、超えれば高圧の扱いになります。
容量が小さいから低圧、という区分ではない点にご注意ください。
※参照:電気設備に関する技術基準を定める省令 第2条(電圧の種別等)/e-Gov法令検索

系統用蓄電池そのものの仕組みは、系統用蓄電池とは?ビジネスモデルと3つの収益源でくわしく解説しています。
2026年度に何が変わったか
2026年度から、低圧のリソースが需給調整市場に参加できるようになりました。
ただし低圧であれば無条件に参加できるわけではなく、条件は「どこで電気を計測するか」によって分かれます。
低圧リソースが需給調整市場に入れるようになった
電力広域的運営推進機関は、2025年9月26日の需給調整市場検討小委員会で、2026年度時点の参入条件を整理しました。
系統と設備の接続点である受電点で計測するリソースは、2026年度から全商品でリスト・パターンによる参入ができます。
ここでいう全商品とは、一次調整力から三次調整力②までの5つの区分を指します。
一部の商品だけが先に開くのではなく、5つが同時に開きました。
機器個別計測には次世代スマートメーターが要る
受電点ではなく、蓄電池そのものの点で計測する方式を機器個別計測といいます。
この方式を使うには、その機器点の受電点に次世代スマートメーターが設置されている必要があります。
次世代スマートメーターの設置は、低圧が2025年度から、高圧以上は2026年度後半から順次進む予定です。
この設置スケジュールと取引規程類の改定をふまえ、機器個別計測を適用できる時期は低圧が2026年度から、高圧(1,000kW未満)は2027年度からと想定されています。
機器点での参入という点では、低圧が高圧より先に動き出します。
ただし次世代スマートメーターが設置されていない低圧の機器点は対象外です。
複数の蓄電池は「群管理」でまとめて扱う
低圧が参入できるようになると、市場システムに登録するリソースの件数が一気に増えます。
そこでリスト・パターンに登録できるリソース数の上限が10万件に、リスト・パターン数の上限が500件に拡大されました。
あわせて、複数の低圧リソースを1つの群として扱う群管理が導入されています。
低圧の発電リソースについては、1つの発電地点につき1つのバランシンググループという制約も外れました。
発電バランシンググループの単位で計画を提出できます。
| 区分 | 計測する場所 | 参入できる時期 | 前提になるもの |
|---|---|---|---|
| 低圧・受電点で計測 | 系統との接続点 | 2026年度から(全商品) | リスト・パターンでの登録 |
| 低圧・機器点で計測 | 蓄電池そのもの | 2026年度から(全商品) | 受電点に次世代スマートメーターが設置済みであること |
| 高圧(1,000kW未満)・機器点で計測 | 蓄電池そのもの | 2027年度からと想定 | 同上。設置は2026年度後半から順次 |
検討している土地の受電点にどのメーターが入っているかは、外から見ても分かりません。
一般送配電事業者か、契約を検討しているアグリゲーターに確認してください。
※参照:第57回需給調整市場検討小委員会 資料3「需給調整市場における機器個別計測・低圧リソース導入について(2026年度からの制度開始に向けた整理)」2025年9月26日/電力広域的運営推進機関
※参照:第13回次世代の分散型電力システムに関する検討会 資料6「需給調整市場における機器個別計測について」2025年9月8日/資源エネルギー庁

収益はどこから生まれるか
低圧系統用蓄電池の収入は、発電した電気を売った代金ではありません。
電力市場での取引から生まれます。
市場は3つあり、お金が払われる対象がそれぞれ違います。
| 市場 | 何に対して払われるか | 収入の性質 |
|---|---|---|
| 需給調整市場 | 需給バランスを調整するために待機する能力と、実際に充放電した電力量 | 待機しているだけでも対価が発生する |
| 容量市場 | 4年後の供給力として確保されていること | 年の単位で決まる固定的な収入 |
| 卸電力市場(JEPX) | 安い時間に充電し、高い時間に放電したときの値差 | 市場価格の変動に直接左右される |
3つのうち、2026年度の制度変更で低圧に開かれたのが需給調整市場です。
各市場の細かい商品区分は、需給調整市場とは、容量市場とは、系統用蓄電池とJEPXの関係でそれぞれ解説しています。
1台では市場に出せない
需給調整市場の最低入札量は1,000kWです。
連系出力50kW未満の蓄電池は、1台ではこの量にまったく届きません。
そこでアグリゲーターが、複数のリソースをリスト・パターンとして束ねたうえで入札します。
2026年度に群管理が導入されたのは、この束ねる作業を制度の側で扱えるようにするためです。
土地の所有者や小規模の事業者が、単独で市場に入札する形は想定されていません。
アグリゲーターとの契約が、収入を得るための前提です。
※参照:取引ガイド(全商品)第7版(2025年4月1日)/電力広域的運営推進機関

手取りは契約形態で決まる
アグリゲーターとの契約には、大きく分けて3つの形があります。
3つの違いは、市場価格が動いたときの結果を誰が引き受けるかです。
| 契約の形 | 市場価格の変動を引き受ける側 | 受け取り方 |
|---|---|---|
| 固定賃料型 | アグリゲーター | 毎月または毎年、決まった額を受け取る |
| 収益シェア型 | 双方で分け合う | 市場の収入から費用を引いた額を、決めた比率で分ける |
| 買取型 | アグリゲーター | 設備ごと買い取ってもらい、以後の収入は発生しない |
市場価格が想定より高く動いた年に、その上振れを受け取れるかどうかがここで決まります。
反対に、価格が低迷した年の負担を負うのがどちらになるかも、同じ条件次第です。
費用と用地の目安
低圧系統用蓄電池の相場は、総額2,000万円台です。
各社が公開している低圧向けパッケージの価格を、チクデン編集部で確認した結果です(2026年9月時点)。
ただし、この金額に何が含まれるかは会社によって違います。
機器の値段だけを並べて比べると、判断を誤ります。
見積りは次の区分に分けて出してもらってください。会社ごとの差がどこにあるかが見えます。
- 蓄電池本体とパワーコンディショナ
- 連系工事費。一般送配電事業者へ支払う工事費負担金が含まれます。この負担金は連系する場所の設備状況で変わるため、事前相談の回答が出るまで確定しません
- 土地の造成・基礎・フェンス
- 通信と計測の設備(遠隔制御のための機器、計量器)
- 運転が始まってからの費用。アグリゲーターへの手数料、保守、保険、土地の賃料
いちばん差が出るのは連系工事費です。
同じ総額でも、これが含まれているかどうかで、あとから出ていく金額が変わります。
必要な広さを左右するのは、機器の構成と、周囲に確保する離隔距離です。
公開されている情報には幅があり、20平方メートル前後からとするものと、49.5kW級の標準構成で約40平方メートルとするものがあります。
低圧だから簡単というわけではない
50kW未満だからといって、手続きが軽くなるわけではありません。
契約を結ぶ前に確認しておかないと、あとから計画が止まる箇所が4つあります。
低圧で連系できるとは限らない
その土地の周辺の配電線に空き容量がなければ、50kW未満であっても低圧での連系は認められません。
可否は土地ごとに違うため、一般送配電事業者への事前相談で確認します。
ここが最初の関門です。
低圧分割と判断されることがある
1つの土地を区切って複数の低圧設備として申し込むと、本来は1つの高圧設備であるものを分けたと判断される場合があります。
この判断を受けると、申込みが受理されません。
複数の基を並べる計画では、申込みの前に事前相談で確認してください。
次世代スマートメーターの設置状況に左右される
機器点での参入を前提にした計画は、受電点に次世代スマートメーターが設置されていなければ成立しません。
低圧への設置は2025年度から順次進んでいますが、全国で一斉に入れ替わるわけではないためです。
保安・届出と出口の整理は設備の構成で変わる
必要になる届出や保安の体制は、設備の構成によって変わります。
低圧だから一律に軽い、という整理はできません。
あわせて、設備を10年後や15年後にどうするかも、契約の前に決めておく対象です。
売却するのか、撤去するのか、土地の権利をどう整理するのかで、結ぶべき契約の内容が変わります。

始めるまでの流れ
検討から運転開始までは、大きく5つの段階に分かれます。
段階ごとに聞く相手が違うため、順番を入れ替えると手戻りが出やすい構造です。
| 段階 | やること | 聞く相手 |
|---|---|---|
| 1 | 土地の条件を確認する(面積、搬入経路、用途地域) | 土地の所有者、施工会社 |
| 2 | 低圧で連系できるかを事前相談する | 一般送配電事業者 |
| 3 | アグリゲーターを選び、契約の形を決める | アグリゲーター |
| 4 | 機器を選び、見積りを取る | メーカー、施工会社 |
| 5 | 系統連系を申し込み、工事から運転開始へ | 一般送配電事業者、施工会社 |
2の事前相談で止まる案件が一定数あります。
機器やアグリゲーターの検討に時間をかける前に、まず連系の見通しを取ってください。
4で選べる低圧向けの製品は、まだ数が限られています。
低圧での運用を前提にした製品が出そろっていないため、機器の選定はアグリゲーターを決めたあとに進めてください。

低圧系統用蓄電池に関する質問
低圧系統用蓄電池の解禁はいつですか?
需給調整市場への参入という意味では、2026年度からです。
受電点で計測する低圧リソースは全商品で参入でき、機器点で計測する場合は受電点に次世代スマートメーターが設置されていることが条件になります。
低圧系統用蓄電池の申請はどこにしますか?
系統連系の申込先は、その土地を管轄する一般送配電事業者です。
申込みの前に、低圧で連系できるかどうかの事前相談から始めます。
低圧でも国の補助金は使えますか?
SIIが執行する補助事業のうち、需要側に設置する蓄電池を対象とする区分は、いずれも高圧以上の需要側に設置することが要件です。
低圧で受電する設備は、この区分では対象になりません。
電力系統に直接つなぐ設備を対象とする「系統用蓄電池」の区分は、別に設けられています。
低圧がこの区分で対象になるかどうかは、公募要領でご確認ください。
公募中の制度は系統用蓄電池の補助金一覧にまとめています。
※参照:公募要領(2026年3月)令和7年度補正 大規模業務産業用蓄電システム等導入支援事業 事業判別フローチャート・事業比較表/一般社団法人 環境共創イニシアチブ
どれくらいの広さの土地が必要ですか?
決まるのは、機器の構成と、周囲に確保する離隔距離です。
公開されている情報では20平方メートル前後から、49.5kW級の標準構成で約40平方メートルまで幅があります。
搬入経路やフェンスの位置まで含めると、実際に使う面積はさらに広くなります。
低圧系統用蓄電池のまとめ
低圧系統用蓄電池は、2026年度に制度の入口が開いたばかりの分野です。
判断に必要なものを3つに絞ります。
- 参入できる条件は計測の方法で分かれる。受電点で計測する低圧リソースは2026年度から全商品で参入できます。機器点で計測する場合は、その受電点に次世代スマートメーターが設置されていることが前提になります。設置は低圧から順次進んでいますが、全国で一斉に入れ替わるわけではありません
- 収入はアグリゲーター経由でしか生まれない。需給調整市場の最低入札量は1,000kWです
- 止まりやすいのは連系の可否。空き容量がなければ50kW未満でも低圧連系は認められないため、事前相談を最初に置きます
手取りの額を左右するのは、市場の価格そのものよりも、アグリゲーターとどの契約形態を結ぶかです。
固定賃料型と収益シェア型では、価格が動いた年の結果がまったく変わります。
なお、この記事の内容は2026年9月時点の公表資料にもとづくものです。
需給調整市場の制度は検討が続いており、参入条件や適用時期は今後も更新されます。
契約の前に、一次情報もあわせてご確認ください。
