低圧系統用蓄電池の価格はいくら?13の公開例と費用の内訳・維持費を解説

低圧系統用蓄電池の価格は、公開されている例で総額1,450万円から3,000万円まで幅があります。
ただし、この差の多くは機器の違いではなく、工事費負担金・土地・申請の費用が価格に含まれているかどうかで生まれます。

この記事では、13の公開例を、含まれる範囲と税の扱いとあわせて整理しました。
本体の外にかかる費用と、運転を始めてからの維持費もまとめています。
記載の価格は、各社の公式ページ・プレスリリース・報道で2026年9月28日に確認したものです。

先に答え:低圧系統用蓄電池の価格 早見表
項目2026年9月時点
公開価格総額1,450〜3,000万円。含まれる範囲と税の扱いが事業者ごとに違う
容量あたりの単価税別・工事込みの公開価格で約8.5〜14.6万円/kWh。容量が小さいほど割高
本体の外にかかる費用工事費負担金(関西電力送配電のモデルで約24〜142万円)、土地、申請費、フェンスなど
運転開始後の費用アグリゲーターの手数料、保守・保険・通信、固定資産税(税率1.4%)、機器の交換
収入側の価格需給調整市場の一部の商品の上限価格は、2026年9月1日から10円/ΔkW・30分に下がった
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目次

低圧系統用蓄電池の価格相場

低圧系統用蓄電池の価格は、1つの相場にまとめられるほどそろってはいません。
価格を見るときに押さえておきたい点は、次の3つです。

13の公開例

低圧系統用蓄電池の価格を公表している事業者と、その内容は次の表のとおりです。

事業者構成公開価格税の扱い価格に含まれるもの
エコスタイル49.9kW/99〜217kWh(3メーカー8区分)1,450〜1,850万円税別機器・基礎・据付・電気工事(土地・整地・工事費負担金は別)
テクノロジーズほか4社49.9kW/100kWh約1,700万円税別記載なし
HPリニューエナジー1区画1,750万円〜記載なし記載なし
RE100電力49.5kW/200kWh2,000万円(初期投資の想定)記載なし記載なし
パワーアップ49.9kW/200kWh級約2,000万円記載なし申請・機器・施工・運用・保守の窓口を一本化
再エネひろば低圧1区画2,000万円〜税別設備工事代込み(維持費は別)
EINS低圧1区画2,000万円台〜記載なし個別に案内
みらい電設49.5kW級/約200kWh2,100万円税別設備・標準工事・電力申請・系統協議(工事費負担金・土地は別)
赤嶺電研企画49.5kW/100kWh・200kWh1,800〜2,700万円税別記載なし(条件で変動)
Tensor Energy49.5kW/253kWh2,500万円記載なし記載なし
ティーエスピー50kW未満/250kWh約2,500万円記載なし申請の費用(約32万円)と系統連系の負担金は別
Livable GridBase最大253kWh2,500万円記載なし土地・設備込み(連系できることを確認済み)
オーキット49.9kW/217.08kWh3,000万円税込機器・土地・設計・施工・工事費負担金・運用開始までの費用

最も安い1,450万円と最も高い3,000万円では、含まれる範囲がまったく違います。
1,450万円は土地と工事費負担金を含まない税別の価格で、3,000万円は土地と工事費負担金まで含んだ税込の価格です。
価格を比べるときは、同じ範囲にそろえてから比べてください。

出典(2026年9月28日確認):

メーカーごとの製品と保証は、下記記事で比較しています。

関連記事:

容量あたりの単価

同じ範囲の価格で比べるために、エコスタイルが公表している8区分(税別・機器と工事込み・土地と工事費負担金は別)を、容量あたりの単価に直しました。

メーカー蓄電容量価格(税別)容量あたりの単価
SUNGROW99.00kWh1,450万円約14.6万円/kWh
GoodWe102.40kWh1,500万円約14.6万円/kWh
Sigenergy108.54kWh1,470万円約13.5万円/kWh
SUNGROW168.30kWh1,650万円約9.8万円/kWh
SUNGROW198.00kWh1,800万円約9.1万円/kWh
GoodWe204.80kWh1,850万円約9.0万円/kWh
Sigenergy205.02kWh1,800万円約8.8万円/kWh
Sigenergy217.08kWh1,850万円約8.5万円/kWh

※容量あたりの単価は、チクデン編集部が価格を容量で割って算出しました。

容量を約2倍にしても、総額は1.2〜1.3倍ほどしか増えません。
パワーコンディショナ・工事・申請といった、容量に関係なくかかる費用の割合が大きいためです。
同じ連系出力49.9kWなら、容量の大きい構成のほうが1kWhあたりは安くなります。

※参照:低圧系統用蓄電所/エコスタイル

大規模な系統用蓄電池との単価の違い

経済産業省の検討会の資料によると、系統用蓄電池のシステム価格は2024年度で1kWhあたり5.4万円、工事費は1.4万円でした(日経BPの報道による)。
この数字は大規模な案件が中心で、機器と工事の費用を分けて集計したものです。

低圧は、容量に関係なくかかる費用の割合が大きいため、1kWhあたりの単価は大規模な案件より高くなります。
また、低圧に限った価格の推移を示す公的な資料は、2026年9月時点で見当たりません。

※参照:系統用蓄電池、システム価格は5.4万円/kWhで2023年度から低下/日経BP メガソーラービジネス(2025年2月4日)

本体の外にかかる費用

公開価格の多くは、機器と工事の費用だけを示しています。
価格とは別にかかりやすい費用は、次の4つです。

低圧系統用蓄電池の費用の全体像(本体価格に含まれやすいもの・別になりやすいもの・運転開始後の費用)

工事費負担金

工事費負担金は、蓄電池を系統につなぐために電力会社(一般送配電事業者)が工事をしたとき、その費用のうち事業者が負担する分です。
関西電力送配電は、低圧の系統用蓄電池(49.9kW)の工事費負担金について、次の3つのモデルを公表しています。

モデル工事の内容工事費負担金
ケース1引込線・計量器の工事だけ約24万円
ケース2変圧器の新設または取替え・引込線・計量器の工事約61万円
ケース3電柱2本の新設・高圧線・変圧器・引込線・計量器の工事約142万円

同じ49.9kWでも、近くの設備の状況で工事費負担金は数倍変わります。
これはあくまでモデルで、実際の金額は申込み後の技術的な検討で個別に案内される仕組みです。

※参照:系統用蓄電池のお申込みについて/関西電力送配電

土地の費用

土地を買うか借りるかで、かかる費用は変わります。
購入する場合は、土地代のほかに仲介手数料・登記・測量・分筆の費用がかかり、農地なら農地転用の手続きも必要です。
借りる場合は賃料がかかり、公開例には月4万円(テクノロジーズほか4社の事業モデル)があります。

土地込みの価格を出している事業者もあります。
Livable GridBase は2,500万円、オーキットは3,000万円(税込)で、土地まで含めた価格です。

※参照:低圧系統用蓄電池/みらい電設

土地の条件と、土地を借りる場合の契約は、下記記事で解説しています。

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申請の費用

電力会社への系統連系の申込みと協議は、販売事業者や施工会社が代行する形があり、その費用の扱いは事業者ごとに違います。
みらい電設は電力申請と系統協議をパッケージ価格に含めていますが、ティーエスピーは接続の申請と代行の費用(約32万円)を別にしています。
見積りに申請の費用が入っているかを、必ず確かめてください。

フェンスと造成の費用

フェンスや防草シート、砕石の敷きならしは、オプションとして別になっている例があります。
エコスタイルは基礎工事を価格に含める一方、フェンスや囲いのブロックはオプションとしています。
傾斜のある土地や地盤の弱い土地では、造成や地盤の改良に追加の費用がかかる点にも注意が必要です。

運転開始後にかかる費用

低圧系統用蓄電池は、運転を始めてからも費用がかかります。
主な費用は次の4つです。

アグリゲーターの手数料

低圧系統用蓄電池は、アグリゲーター(複数の蓄電池をまとめて市場で運用する事業者)に運用を任せるため、手数料がかかります。
手数料を公表している例は、次の表のとおりです。

アグリゲーター手数料
WATT-TUNE対象の売上の8%+年間の基本料30万円(税別)
RE100電力運用益の5%(条件あり。低圧への適用はページに明記なし)
FPS収益の一部+月ぎめの固定費(率と金額は非公表)。「家庭用や自家消費型など低圧の蓄電池」の新規受付は停止中

WATT-TUNE の場合、年間の対象の売上が500万円なら、手数料は40万円+30万円で70万円(税別)になります。
率だけでなく、固定の基本料があるかどうかでも、手取りは変わります。

※参照:WATT-TUNE 低圧系統用蓄電池のアグリゲーション手数料を公表(2026年9月25日)/ASCII STARTUP
※参照:系統用蓄電池 アグリゲーションサービス/RE100電力
※参照:系統用蓄電池アグリゲーションサービス/FPS

アグリゲーターごとの受付条件の比較は、下記記事が参考です。

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保守・保険・通信の費用

保守(O&M)、保険、通信回線、EMS(蓄電池を制御する仕組み)の利用料、電気主任技術者の保安管理も、運転中にかかる費用です。
みらい電設や Livable GridBase は、これらを価格とは別の費用として挙げています。
ただし、金額を公表している事業者は2026年9月時点で見当たりません。
見積りの段階で、年間の金額を書面で出してもらってください。

固定資産税

蓄電池の設備は、固定資産税の償却資産にあたります。
税額は課税標準額の1.4%で、課税標準額が150万円未満なら課税されません。
2,000万円前後の設備なら、この免税点を大きく超えるため、固定資産税がかかります。
評価額の計算に使う耐用年数は、税理士に確認してください。

※参照:償却資産/豊中市
※参照:固定資産税(償却資産)/東京都主税局

機器の交換の費用

リチウムイオン電池は、充放電の回数と使う環境によって容量が少しずつ下がります。
需給調整市場で1日に何度も充放電する運用では、想定より早く交換の時期が来ることもあります。
メーカーの保証の年数と、保証が切れたあとの交換の費用も、あわせて確かめてください。

関連記事:

低圧系統用蓄電池の見積りで確認すること

見積りを比べるときは、総額だけで判断すると誤ります。
確認したい点は次の6つです。

  • 価格が税別か税込か
  • 工事費負担金が含まれているか
  • 土地の費用が含まれているか
  • 電力会社への申請の費用が含まれているか
  • フェンスや造成がオプションになっていないか
  • 運転開始後の手数料・保守・保険の年額

この6つをそろえてから比べると、1,450万円の見積りと3,000万円の見積りの差が、どこから生まれているかが分かります。

低圧系統用蓄電池の収入を左右する市場の価格

「価格」には、蓄電池を買う価格のほかに、市場で得られる収入の価格もあります。
低圧系統用蓄電池の主な収入源である需給調整市場では、2026年に上限価格が2回下がりました。

期間一次調整力・二次調整力①・複合商品二次調整力②・三次調整力①三次調整力②
2024年4月1日〜2026年3月13日19.51円7.21円上限なし
2026年3月14日〜8月31日15.00円7.21円上限なし
2026年9月1日から当面の間10.00円7.21円上限なし

※単位は円/ΔkW・30分

これは上限の価格で、実際の約定価格が一律で10円になるわけではありません。
ただし、事業者が示す収益の試算には、上限の引き下げより前の前提を使ったものもあります。
試算の前提になっている市場の価格が、いつの時点のものかを確かめてください。

※参照:需給調整市場のΔkW上限価格について(2026年7月30日)/電力需給調整力取引所

需給調整市場の仕組みは、下記記事で解説しています。

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低圧系統用蓄電池の価格に関するよくある質問

低圧系統用蓄電池の価格について、よくある質問をまとめました。

低圧系統用蓄電池はいくらで買えますか?

公開価格は総額1,450〜3,000万円です。
税別で機器と工事だけを含む価格では1,450万円の例が、土地と工事費負担金まで含む税込の価格では3,000万円の例があります。

土地込みの価格はありますか?

あります。
Livable GridBase は土地と設備込みで2,500万円、オーキットは土地・工事費負担金まで込みで3,000万円(税込)を公表しています。

維持費は年間いくらかかりますか?

アグリゲーターの手数料は、WATT-TUNE の「売上の8%+年30万円(税別)」のように公表している例があります。
保守・保険・通信の金額を公表している事業者は見当たらないため、見積りの段階で年額を書面で確認してください。
このほかに固定資産税(税率1.4%)がかかります。

価格は今後下がりますか?

補助金を活用した大規模な系統用蓄電池の案件では、システム価格は1kWhあたり2022年度4.9万円、2023年度6.2万円、2024年度5.4万円と上下しています(経済産業省の検討会の資料、日経BPの報道による)。
一方向に下がり続けているわけではありません。
低圧に限った価格の推移を示す公的な資料は、2026年9月時点で見当たりません。

低圧系統用蓄電池の価格についてまとめ

低圧系統用蓄電池の公開価格は、13の公開例で総額1,450〜3,000万円です。
差の多くは、工事費負担金・土地・申請の費用が含まれているかと、税の扱いで生まれます。
容量あたりの単価は、容量の大きい構成ほど安くなる傾向です。

運転を始めてからも、アグリゲーターの手数料・保守・保険・固定資産税がかかります。
2026年9月からは需給調整市場の上限価格も下がっているため、費用と収入を、同じ時点の前提で確かめてください。

低圧系統用蓄電池とは何か、仕組みと始める前の注意点は、下記記事で解説しています。

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