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低圧系統用蓄電池の融資と補助金|使える制度・使えない制度と資金調達の方法
低圧系統用蓄電池は、公開されている価格で総額1,450〜2,500万円ほどの設備です。
高圧の蓄電所に比べれば小さな投資ですが、「補助金は使えるのか」「融資は受けられるのか」と迷う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、低圧系統用蓄電池の資金調達を、補助金・融資・リース・税制に分けて整理します。
どの制度も公式の資料で要件を確かめ、使えないものは使えないと書きました。
記載の内容は2026年9月時点のものです。
| 手段 | 2026年9月時点 |
|---|---|
| 国の補助金(SIIの系統用蓄電池の補助金) | 対象外。最大受電電力1,000kW以上が要件 |
| 国の補助金(SIIの業務産業用DR補助金) | 対象外。高圧以上の需要側(工場・ビルなど)に置く設備が対象 |
| 自治体の補助金 | 東京都は定格出力1,000kW以上が要件。低圧の系統用を対象にした制度は確認できず |
| 日本政策金融公庫 | 制度のページに蓄電池の記載はない。支店に確認が必要 |
| 銀行・信用金庫 | 低圧系統用蓄電池専用の融資商品は確認できず。設備資金として個別に相談 |
| リース | 一部の販売事業者が対応。条件は事業者ごとに異なる |
| 税制(中小企業経営強化税制など) | 公式資料に蓄電池の記載はない。税理士・経済産業局に確認が必要 |

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|---|---|
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| 対応可能エリア | 日本全国 |
| 可能マッチング | ・購入者(投資家・事業会社)⇔ 販売者(案件・蓄電所) ・土地所有者 ⇔ EPC施工会社 ・土地権利販売者 ⇔ 土地権利購入者 ・アグリゲーター・電池メーカーなどの業者マッチング |
| 公式サイト | https://battery-navi.jp/ |
低圧系統用蓄電池の資金調達の現状
低圧系統用蓄電池の資金調達を考える前に、押さえておきたい現状は次の3点です。
公開価格は総額1,450〜2,500万円
低圧系統用蓄電池(連系出力50kW未満)の公開価格は、容量100〜250kWhの構成で、総額1,450〜2,500万円ほどです。
下限はエコスタイルの99kWhの構成(1,450万円)、上限は Tensor Energy の253kWhのパッケージ(2,500万円)です。
同じ価格でも、含まれる範囲は販売事業者ごとに異なります。
電力会社に払う工事費負担金や土地の費用が別になっていないか、見積書の内訳で確認してください。
※参照:低圧系統用蓄電所/エコスタイル
※参照:PV EXPO・蓄電池展 特集/日経BP メガソーラービジネス(2026年3月22日)(Tensor Energy)
メーカーごとの価格と容量は、下記記事で比較しています。
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公表されている融資は高圧の大規模案件
系統用蓄電池への融資の事例は、2023年以降、金融機関の発表で少しずつ出てきています。
ただし規模が公表されている事例は、いずれも高圧・特別高圧の大規模な案件です。
たとえば2026年4月には、リコーリースが日本蓄電池の系統用蓄電池事業に、全国14か所の高圧の蓄電施設をまとめて融資しました(限度額49億円)。
低圧の蓄電池1台を対象にした融資の事例は、2026年9月時点で公表されていません。
※参照:リコーリースによる融資について/日本蓄電池(2026年4月27日)
高圧を含む融資の事例と審査のポイントは、下記記事で解説しています。
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金融機関が慎重になる理由
系統用蓄電池の収入は、卸電力市場・需給調整市場・容量市場での取引から生まれ、価格は固定されていません。
業界団体の資料は、市場価格が安定していないことと、制度の変更が多く固定費を回収できるかの見通しが立ちにくいことを、融資を組みにくい理由に挙げています。
低圧の設備が需給調整市場に参加できるようになったのは2026年度からです。
1年を通した運用実績を公表した事業者は、2026年9月時点でまだありません。
金融機関に示す収益の見通しは、どの事業者のものでも想定値になります。
※参照:系統用蓄電池の可能性と課題について(P.5)/エネルギーリソースアグリゲーション事業協会
※参照:第57回需給調整市場検討小委員会 資料3(2025年9月26日)/電力広域的運営推進機関
低圧系統用蓄電池で使える補助金
補助金は、制度ごとに対象の規模と設置場所が決まっています。
2026年9月時点で公式の資料を確認した結果は、次の3点です。
国の系統用蓄電池の補助金は1,000kW以上が要件
環境共創イニシアチブ(SII)の「系統用蓄電システム等導入支援事業」(令和7年度補正)は、2026年9月4日から11月4日まで公募しています。
公募要領は、系統用蓄電池の設備の要件を「電力系統に直接接続」「最大受電電力:1,000kW以上」としています。
連系出力50kW未満の低圧系統用蓄電池は、この要件を満たしません。
令和7年度の当初予算の事業も、同じく最大受電電力1,000kW以上が要件でした。
※参照:令和7年度補正 系統用蓄電システム等導入支援事業 公募要領(P.2)/環境共創イニシアチブ
※参照:令和7年度 系統用蓄電池等電力貯蔵システム導入支援事業費補助金 公募要領(P.9)/環境共創イニシアチブ
DR補助金は需要側に置く蓄電池が対象
SIIには、業務産業用の蓄電池を対象にしたDR補助金(電気を使う側が使用量を調整するディマンドリスポンスに使う蓄電池の補助金)もあります。
小規模な区分はパワーコンディショナの合計出力が100kW未満なので、49.9kWの蓄電池も対象になりそうに見えます。
しかし、公募要領の要件は「高圧以上の需要側(工場、ビル等)に設置される設備であること」です。
電力系統に直接つなぐ低圧の蓄電所は、設置する場所の区分が違うため、この補助金の対象になりません。
※参照:令和7年度補正 業務産業用蓄電システム導入支援事業 公募要領(P.10)/環境共創イニシアチブ
自治体の補助金も大規模か太陽光とのセットが中心
東京都の「系統用大規模蓄電池導入支援事業」(令和8年度)は、定格出力1,000kW以上の蓄電システムが対象です。
和歌山県や徳島県の事業者向けの補助金は、蓄電池を「太陽光発電設備の付帯設備」に限っています。
低圧の系統用蓄電池を対象にした自治体の補助金は、2026年9月時点の調査では見つかりませんでした。
ただし全国の自治体を調べ尽くしたわけではないため、設置先の都道府県と市町村の窓口にも確認してください。
※参照:系統用大規模蓄電池導入支援の受付開始(2026年3月30日)/東京都
※参照:令和8年度 和歌山県事業者向け太陽光発電設備・蓄電池等導入支援事業補助金/和歌山県
※参照:令和8年度徳島県地域脱炭素移行・再エネ推進事業補助金/徳島県
高圧・特別高圧で使える補助金は、下記記事でまとめています。
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低圧系統用蓄電池の融資の選択肢
補助金が使えない以上、低圧の資金は融資・リース・自己資金の組み合わせで考えることになります。
公式の資料で確認できた内容を並べると、次の表のとおりです。
| 手段 | 公式に確認できたこと | 確認すること |
|---|---|---|
| 銀行・信用金庫 | 低圧系統用蓄電池専用の融資商品は見当たらない | 設備資金として相談できるか、取引のある金融機関に確認 |
| 日本政策金融公庫 | 環境・エネルギー対策資金に蓄電池の記載はない | どの制度区分で相談できるか、支店に確認 |
| リース | 一部の販売事業者がリースでの購入に対応 | 対象の案件と、リース会社の審査の条件 |
| 自己資金 | ― | 運転開始後の修繕や機器交換の資金を残せるか |
1.銀行・信用金庫
2026年9月時点で、銀行や信用金庫が低圧系統用蓄電池を対象と明記した融資商品は見つかりませんでした。
公式に出ている蓄電池のローンは、住宅用や個人向けのものが中心です。
低圧の場合は、取引のある金融機関に、事業の設備資金として個別に相談する形になります。
販売事業者の中には、融資の相談を支援しているところもあります。
たとえばエコスタイルが案内しているのは、融資を受けるときに必要な書類の整理や作成の補助です。
※参照:低圧系統用蓄電所/エコスタイル
2.日本政策金融公庫
日本政策金融公庫の「環境・エネルギー対策資金」は、非化石エネルギーの導入やGX(脱炭素に向けた取り組み)に必要な設備資金を対象にした融資制度です。
小規模事業者向けの国民生活事業と、中小企業向けの中小企業事業で、限度額が異なります。
| 項目 | 国民生活事業 | 中小企業事業 |
|---|---|---|
| 融資限度額 | 7,200万円 | 直接貸付 7億2千万円(代理貸付 1億2千万円) |
| 設備資金の返済期間 | 20年以内(うち据置期間2年以内) | 20年以内(うち据置期間2年以内) |
低圧の総額1,450〜2,500万円は、国民生活事業の限度額に収まります。
ただし、非化石エネルギー関連の区分で対象として並んでいるのは発電設備と熱利用設備などで、どちらのページにも蓄電池の記載はありません。
GX関連の区分は「温室効果ガス排出量を算定し、GXに取り組む方」が対象で、設備の種類ではなく取り組みの内容で判断されます。
系統用蓄電池がどの区分で相談できるかは、公庫の支店が判断します。
公庫の融資を前提にした資金計画を組む前に、支店で確認してください。
※参照:環境・エネルギー対策資金(国民生活事業)/日本政策金融公庫
※参照:環境・エネルギー対策資金(中小企業事業)/日本政策金融公庫
3.リース
リースは、リース会社が設備を買い、利用者が期間中のリース料を払う形です。
初期に出ていく現金を抑えられるのが利点です。
販売事業者の信和は、自社が売る物件について、リースでの購入にも対応すると案内しています。
仲介サイトのタイナビ発電所は、一部の案件でリース契約ができるとしたうえで、条件に「設立5年以上」「前年度純利益1,000万円以上」「年商10億円以上」を挙げています。
条件は事業者ごとに大きく異なるため、案件ごとに確認が必要です。
リースでは、設備の所有者がリース会社になります。
減価償却や税制の扱いも変わるため、契約の形を決める前に税理士に相談してください。
※参照:蓄電池投資に融資は使える?金融機関の見方と資金調達の選択肢/信和(2026年7月21日)
※参照:系統用蓄電所投資/タイナビ発電所
4.自己資金
低圧は総額が2,000万円前後に収まる構成が多く、自己資金でまかなう選択肢もあります。
融資の審査を待たずに進められるため、系統連系の申込みを早く進めたい場合に動きやすくなります。
ただし、手元の資金を使い切ると、運転開始後の修繕や機器の交換に対応できません。
運転開始後に必要になる資金を残したうえで、自己資金の割合を決めてください。
なお、系統用蓄電池のクラウドファンディングは、開発事業者が投資家から資金を集める仕組みです。
蓄電池を買う人が購入資金を借りる手段ではありません。
金融機関に相談する前の準備
公表されている事例が少ない低圧では、事業の中身を書類で説明できるかが相談を進める鍵になります。
販売事業者の信和は、金融機関が確認する点として次の4つを挙げています。
- 事業計画の妥当性
- 申込者の属性と財務状況
- 物件そのものの確実性
- 保守の体制
これらを説明するために、相談の前にそろえておきたい書類は次の9つです。
- 事業計画書(事業の概要・体制・スケジュール)
- 収支シミュレーション(前提条件と、収益が想定を下回るケースを含む)
- 資金計画表(総額の内訳・自己資金・借入の希望額)
- EPC(設計・調達・施工の事業者)の見積書
- アグリゲーターとの契約書の案(期間・収益の分配・解約の条件)
- 系統連系の申込みの状況が分かる書類
- 土地の登記事項証明書または賃貸借契約書
- 機器の保証書と仕様書
- 決算書(法人の場合)

アグリゲーターとの契約の形と手数料は、下記記事で比較しています。
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低圧系統用蓄電池と税制
資金計画では、税制の優遇を前提にしないことも大切です。
よく名前が挙がる2つの税制について、公式の資料で確認できた内容は次のとおりです。
中小企業経営強化税制
中小企業経営強化税制は、経営力向上計画の認定を受けた中小企業が新しい設備を取得したときに、即時償却か税額控除を選べる制度です。
中小企業庁のQ&Aは、全量を売電する場合は電気業の設備にあたり、電気業はこの税制の対象外としています。
手引きも、販売する電気の量が5割を超える発電設備などを対象から除いています。
公式の資料に、蓄電池を名指しした記載はありません。
低圧系統用蓄電池が対象になるかは、税理士か経済産業局に確認してください。
※参照:中小企業経営強化税制 Q&A集(共-23)/中小企業庁
※参照:中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き/中小企業庁
大胆な投資促進税制
2026年度に新しくできた「大胆な投資促進税制」は、即時償却か税額控除7%を選べる制度です。
ただし投資額の下限は35億円以上で、中小企業者等でも5億円以上です。
低圧系統用蓄電池を1台買う投資額は、この下限に届きません。
即時償却の要件と注意点は、下記記事で解説しています。
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融資を使わない関わり方
資金の調達が難しい場合でも、低圧系統用蓄電池に関わる方法はあります。
設備を持たずに、土地だけを貸して賃料を受け取る形です。
たとえば WATT-TUNE は、土地のオーナー向けに固定賃料の例(月4万円・15年)を公表しています。
設備の投資が発生しないため、融資も補助金も必要ありません。
その代わり、市場で得られる収入はオーナーには入りません。
※参照:低圧系統用蓄電池が事業化/株式会社テクノロジーズ プレスリリース(2026年3月14日)
土地を貸す形を含む契約の違いは、下記記事で解説しています。
関連記事:
低圧系統用蓄電池の融資・補助金に関するよくある質問
低圧系統用蓄電池の資金調達について、よくある質問をまとめました。
低圧系統用蓄電池に国の補助金は使えますか?
2026年9月時点で、国の系統用蓄電池の補助金(SII)は最大受電電力1,000kW以上が要件のため、低圧は対象外です。
業務産業用のDR補助金も、高圧以上の需要側に置く設備が対象で、系統に直接つなぐ低圧の蓄電所は当てはまりません。
日本政策金融公庫で借りられますか?
環境・エネルギー対策資金のページに、蓄電池の記載はありません。
GX関連の区分や一般の設備資金で相談できるかは、支店が判断します。
設備の契約の前に、支店で確認してください。
低圧なら高圧より融資を受けやすいですか?
金額が小さいぶん、自己資金やリースと組み合わせやすい面はあります。
一方で、規模が公表されている系統用蓄電池の融資の事例は、いずれも高圧の大規模な案件です。
低圧の案件に融資が付くかは、金融機関ごとの個別の判断になります。
即時償却は使えますか?
中小企業経営強化税制は、全量を売電する電気業の設備を対象外としており、公式の資料に蓄電池を名指しした記載はありません。
大胆な投資促進税制は、投資額の下限が中小企業者等でも5億円以上です。
使えるかどうかは、税理士か経済産業局に確認してください。
低圧系統用蓄電池の融資・補助金についてまとめ
低圧系統用蓄電池は、国と東京都の補助金の要件(1,000kW以上)を満たさず、2026年9月時点では補助金を前提にした資金計画は組めません。
融資も、低圧専用の商品や公表された事例はまだなく、取引のある金融機関や公庫の支店に個別に相談する段階です。
相談を進めるには、事業計画・収支シミュレーション・アグリゲーターとの契約条件を書類で説明できるようにしておくことが欠かせません。
自己資金・リース・融資の組み合わせは、運転開始後の資金も含めて決めてください。
チクデンでは、低圧系統用蓄電池を検討している方に、条件に合う販売事業者・EPC・アグリゲーターをご紹介しています。
資金の組み方によって選べる設備や契約の形が変わるため、資金計画の段階からご相談いただけます。
