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系統用蓄電池の廃棄|費用の考え方・処分の流れ・事業者の責任
「蓄電所を廃止するとき、蓄電池の撤去や処分にどのくらいの費用がかかるんだろう?」
経済産業省の検討会の試算では、系統用蓄電池の運転終了後にかかる撤去などの費用を、建設費の5%と仮定しています。
ただし、この5%は試算上の仮定であり、実際の廃棄費用の相場を示すものではありません。
また、事業で使用した蓄電池の廃棄にあたっては、産業廃棄物として適切に処理するための手続きや管理が必要です。
この記事では、系統用蓄電池の廃棄費用の考え方、撤去から処分までの流れ、メーカーによる回収の仕組み、土地を借りて設置する場合の契約上の注意点を解説します。

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系統用蓄電池の廃棄費用
廃棄費用を見込むときは、国の試算の「建設費の5%」を目安に置き、撤去・運搬・処分の見積で確かめます。
この章の内容は、次の3つです。

国の試算での廃止措置費用
経済産業省の定置用蓄電システム普及拡大検討会(2024年8月29日)に出された資料では、系統用蓄電池の収益性を試算する前提として、廃止措置費用を建設費の5%と置いています。
この値は、長期脱炭素電源オークション(脱炭素電源への新規投資を長期の収入で支える国の入札制度)の諸元を基に設定したものです。
同じ試算では、建設費を1kWhあたり3万〜8万円、稼働年数を20年としています。
たとえば、容量1万kWh(10MWh)の蓄電所を1kWhあたり6万円で建てると仮定すると、建設費は6億円で、その5%の3,000万円が廃止措置費用の目安です。
ただし、元になった長期脱炭素電源オークションの資料も、5%に何が含まれるかの内訳は示していません。
また、同じ資料では揚水発電の廃棄費用も建設費の5%と置いており、この5%は試算のための共通の前提で、実際の撤去や処分の費用を集計した数字ではありません。
※参照:系統用・再エネ併設蓄電システムのコスト面・収益面での課題整理(2024年度第3回 定置用蓄電システム普及拡大検討会 資料3、2024年8月29日)p.24|経済産業省
※参照:長期脱炭素電源オークションについて(第81回 制度検討作業部会 資料7、2023年6月21日)p.5|資源エネルギー庁
見積で確かめる費用の内訳
実際の廃棄費用は、撤去工事・収集運搬・処分の3つに分けて見積を取ると、どこにいくらかかるかが分かります。
- 撤去工事:蓄電池のコンテナ、PCS(電気を直流と交流に変換する装置)、基礎、ケーブルを取り外す工事
- 収集運搬:取り外した蓄電池を処分場まで運ぶ費用
- 処分・再資源化:蓄電池を解体し、金属などを取り出して処理する費用(メーカーが回収する場合は、その条件で変わる)
なお、導入時の見積に廃棄費用が入っているかどうかも、あわせて確かめておきたい点です。
収支計画への入れ方
廃棄費用は運転期間の最後にまとめて出る費用なので、事業を始める前の収支計画に入れておくものです。
太陽光発電のような国の積立制度の対象に系統用蓄電池は挙がっていないため、運転中の収入から自社で備える必要があります。
廃棄する蓄電池の扱いと事業者の責任
事業で使った系統用蓄電池は産業廃棄物で、処理の責任は排出事業者(廃棄物を出す事業者)にあります。
廃棄物処理法第3条が、事業活動で出た廃棄物は事業者が自らの責任で適正に処理する、と定めているためです。
神奈川県の案内でも、事業者が出すリチウムイオン電池は「産業廃棄物(金属くず、汚泥等)」という扱いです。
処理を業者に委託する場合は、収集運搬と処分のそれぞれの許可を持つ業者と、書面で契約します。
そのうえで、マニフェスト(産業廃棄物管理票。廃棄物の運搬・処分が終わったことを確かめる伝票)を交付し、最終処分まで終わったことを確かめます。
ただし、撤去を工事として発注する場合は、工事に伴って出る廃棄物について、工事を直接請け負った元請業者が排出事業者になる点にも注意が必要です(廃棄物処理法第21条の3)。
そのため、撤去工事を頼むときは、誰が排出事業者としてマニフェストを交付するかを、工事の契約で決めておきます。
※参照:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第3条・第12条・第12条の3・第21条の3|e-Gov法令検索
※参照:混ぜるな危険!!リチウムイオン電池等の混入が火災の原因(2026年6月8日更新)|神奈川県
撤去から処分までの流れ
系統用蓄電池の廃棄は、運転をやめる手続きを済ませてから撤去し、処理業者への委託かメーカーなどの広域認定の仕組みで処分するという順番で進みます。
手順は次の3工程です。

1.運転の終了と届出
撤去の前に、国・自治体・補助金の執行団体への手続きを済ませます。
発電事業の届出をしている事業者は、設備の廃止に伴う届出が必要になる場合があります。
届出の期限は事業者の発電所の出力などによって異なり、原則として廃止日の10日前または9か月前です。
また、一部の設備だけを廃止する場合は、変更の届出の対象になることもあります。
国の補助金を受けて導入した設備は、処分制限期間(補助金で取得した財産を自由に処分できない期間)の扱いに注意します。
環境共創イニシアチブ(SII。国の補助金の執行団体)の令和7年度の交付規程では、取得価格が単価50万円以上の財産を期間内に廃棄するときは、あらかじめ承認を受ける決まりです。
さらに、処分で収入がある場合は、その全部または一部の納付を求められることがあります。
なお、処分制限期間は、減価償却資産の耐用年数(法定耐用年数)の期間です。
廃止の届出や撤去の計画を求める自治体もあるため、条例やガイドラインの確認も欠かせません。
たとえば福島市の系統用蓄電池設備に関するガイドラインは、事前協議の段階で撤去計画書を出すことに加え、運用を終えたときと撤去を終えたときにも届出を求めています。
※参照:発電事業に係る届出義務についてQ&A Q4・Q48・Q49|資源エネルギー庁
※参照:再生可能エネルギー導入拡大・系統用蓄電池等電力貯蔵システム導入支援事業費補助金交付規程(2025年9月16日制定)第24条・第25条|環境共創イニシアチブ
※参照:福島市系統用蓄電池設備に関するガイドライン(2026年5月13日制定)|福島市
2.撤去工事
撤去工事は、蓄電池のコンテナやPCS、基礎、ケーブルを取り外す工事で、EPC(設計・調達・施工を一括で請け負う会社)などの工事会社に依頼します。
どこまで撤去するか(地中のケーブルや基礎を残すか)は、土地の契約の内容次第です。
3.収集運搬と処分
撤去した蓄電池は、産業廃棄物の処理業者への委託か、メーカーなどの広域認定の仕組みを使って処理します。
通常の委託処理では、収集運搬と処分の許可を持つ業者と書面で契約し、マニフェストで処理の状況を確かめる流れです。
一方、広域認定の仕組みを使う場合は、その認定に基づく管理の方法で処分の完了を確かめます。
撤去や処分の費用を見込んだうえで事業計画を立てたい、運転を終えるまでの段取りを事業者に相談したい、といったご相談に対応しています。
メーカーによる回収とリサイクル
蓄電池のメーカーなどが国の認定を受けて使用済みの電池を回収・再資源化する仕組みがあり、メーカーの回収の条件は、機種を選ぶ段階で確かめておく項目の一つです。
この仕組みは広域認定制度(製造事業者などが自社製品を広い範囲で回収・再資源化する場合に、自治体ごとの処理業の許可を不要にする特例)と呼ばれ、廃棄物処理法に定めがある制度です。
環境省の認定一覧(2026年9月17日現在)には、「系統用蓄電システムのリチウムイオン電池パック」「系統系蓄電池システムの蓄電モジュール」など、系統用の蓄電池を対象にした認定がすでにあります。
ただし、回収できる製品や地域の範囲は、認定ごとの内容によって異なります。
また、認定を使っても排出事業者の責任はなくならず、処分の完了を確かめて初めて責任を果たしたことになる、というのが環境省の手引きの説明です。
さらに、令和7年度の系統用蓄電池の国の補助金は、審査の項目に「廃棄物処理法に基づく広域認定の取得」を入れており、長期脱炭素電源オークションも第2回入札から広域認定の取得などを要件にしています。
※参照:広域認定制度申請の手引き(2026年7月最終改訂)p.2・19|環境省
※参照:広域認定制度 産業廃棄物に係る認定の状況(2026年9月17日現在)|環境省
※参照:蓄電池産業戦略の推進に向けて(2026年3月5日)p.22・23|経済産業省
【土地をお持ちの方へ】撤去と原状回復の取り決め
土地を蓄電所の用地として貸すなら、撤去と原状回復(土地を元の状態に戻すこと)は、契約で範囲・費用・期限まで決めておきます。
民法は、撤去する範囲や費用、期限までは定めていないためです。
この章の内容は、次の2つです。
民法の原状回復と収去の決まり
賃貸借で貸した場合、借りた側は契約が終わったときに土地を原状に戻す義務を負います(民法第621条)。
一方で地上権(他人の土地に工作物を持つための権利)を設定した場合、民法第269条は、権利が消えたときに地上権者が土地を原状に戻して工作物を収去できると定めています。
ただし、どちらの場合も、地中のケーブルや基礎をどこまで撤去するか、費用を誰が負担するかまでは民法に定めがないため、契約に書いておく必要があります。
契約書で確かめる項目
契約書で撤去について確かめる項目は、次の4点です。
- 撤去する範囲(地中のケーブルや基礎まで取り除くか)
- 撤去と原状回復の費用を誰が負担するか
- 契約が終わってから何か月以内に撤去するか
- 期限までに撤去されなかったときの扱い
系統用蓄電池の廃棄に関するよくある質問
系統用蓄電池にも廃棄費用の積立義務はありますか?
系統用蓄電池は、国の廃棄費用の積立制度の対象ではありません。
資源エネルギー庁の廃棄等費用積立ガイドライン(2026年4月改定)の適用対象は、出力10kW以上の事業用太陽光発電と風力発電の事業者で、蓄電池は含まれていません。
※参照:廃棄等費用積立ガイドライン(2026年4月改定)p.4|資源エネルギー庁
系統用蓄電池は何年で廃棄になりますか?
経済産業省の検討会の試算では、系統用蓄電池の稼働年数を20年とし、20年で容量が当初の80%まで下がると想定しています。
ただし、これは試算の前提で、実際に廃棄する時期は、容量の低下やメーカー保証の終了を見て判断します。
※参照:系統用・再エネ併設蓄電システムのコスト面・収益面での課題整理(2024年度第3回 定置用蓄電システム普及拡大検討会 資料3、2024年8月29日)p.24|経済産業省
系統用蓄電池の廃棄についてまとめ
まずは事業を始める前に、廃棄費用を収支計画に入れ、導入時の見積に撤去や処分の費用が含まれているかを確かめてください。
あわせて、機種を選ぶ段階ではメーカーの回収の条件を、運転を終える段階では発電事業の廃止の届出や補助金の財産処分の承認などの手続きを確認しておく必要があります。
撤去・廃棄の費用を収支計画に入れたい方や、回収の条件を含めて機種や事業者を選びたい方には、チクデンが条件に合う事業者を紹介します。
土地をお持ちの方の、撤去を含む契約のご相談も受けています。
