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系統用蓄電池の利回りの割合丨利回りを左右する要因と投資判断で確認すべきポイント
系統用蓄電池事業への参入を検討する際、「どの程度の利回りを見込めるのか」は法人・投資家にとって重要な判断材料です。
ただし、系統用蓄電池の利回りは一律に決まるものではありません。電力市場の価格、設備の導入費用、アグリゲーターの運用方針、O&M(運用・保守)費用など、さまざまな条件によって変動します。
>>系統用蓄電池事業における利回りについて確認する
特に注意したいのが、提案資料などに記載された「想定利回り」の数字だけで投資判断をしないことです。どのような収益を想定し、どの費用を差し引き、どの程度の設備劣化や市場変動を織り込んでいるのかまで確認する必要があります。
この記事では、系統用蓄電池事業における利回りの考え方と、利回りを左右する主な要因、収益シミュレーションを見る際のポイントを解説します。

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| 利用料金 | 無料 |
|---|---|
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| 提携機関 | 物件販売、EPC、メーカー、金融機関、アグリゲーター |
| 対応可能エリア | 日本全国 |
| 可能マッチング | ・購入者(投資家・事業会社)⇔ 販売者(案件・蓄電所) ・土地所有者 ⇔ EPC施工会社 ・土地権利販売者 ⇔ 土地権利購入者 ・アグリゲーター・電池メーカーなどの業者マッチング |
| 公式サイト | https://battery-navi.jp/ |
系統用蓄電池事業における利回りとは
系統用蓄電池事業の利回りを検討するには、まず「利回りが何を示す数字なのか」を理解する必要があります。ここでは、利回りの投資額に対する収益の割合と、利回りだけでは収益性を判断できない理由、系統用蓄電池で収益が生まれる仕組みを解説します。
利回りとは投資額に対する収益の割合
利回りとは、投じた資金に対してどの程度の収益を得られるかを割合で示したものです。
一般的には、年間の利益を投資額で割ることで利回りを計算します。
例えば投資額が5億円で、年間利益が5,000万円であれば、単純計算による年間利回りは10%です。
ただし、系統用蓄電池事業で利益をどのように定義するかには注意が必要です。
売上高をそのまま利益として計算(表面利回り)するのか、O&M費用やアグリゲーター費用、保険料、税金などを差し引いた後の利益で計算するのか(実質利回り)によって、利回りは変わります。
| 表面利回り/グロス利回り | 実質利回り/ネット利回り | |
|---|---|---|
| 計算に使う数字 | 売上高(年間総収入) | O&M費、アグリゲーター費、保険料、税金などを差し引いた後の純利益 |
| 数値の大きさ | 高くなる | 低くなる |
| 用途 | 初期段階での大まかな比較 | 実際の出資予測や、投資判断の最終決定 |
また、借入金を利用する場合は、金利や返済条件も投資判断に影響します。そのため、提示された利回りを見る際には、数字だけではなく「何を分子・分母として計算している利回りなのか」を確認することが重要です。
※参照:投資収益率(ROI)とは何か、そしてその計算方法とは?/investopedia
系統用蓄電池の利益・収益はどのように生まれるか
系統用蓄電池は、電力系統に接続して充放電を行う大型の蓄電池設備です。
事業における主な収益源としては、卸電力市場での価格差取引、需給調整市場、容量市場などがあります。
卸電力市場:電力価格が安い時間帯に充電し、高い時間帯に放電することで価格差による収益を狙います。このような取引方法は「アービトラージ」と呼ばれます。
需給調整市場:電力の需要と供給のバランスを保つために必要となる「調整力」を提供します。蓄電池は充放電を比較的素早く制御できるため、調整力として活用できる可能性があります。
容量市場:将来必要になる電力の供給力を確保するための仕組みです。系統用蓄電池についても、一定の条件を満たすことで供給力として評価され、対価を得られる可能性があります。
ただし、それぞれ参加要件や制度が異なります。また、市場価格や制度は変化する可能性があるため、過去の実績が将来も同様に続くとは限りません。
各市場については、下記記事でも詳しく解説しています。
系統用蓄電池の利回りを左右する主な要因
系統用蓄電池の利回りは、電力市場から得られる収益だけで決まるものではありません。アグリゲーターの運用力や初期投資額、運用開始後のランニングコストなども影響します。ここでは、利回りを左右する主な要因を解説します。
1.JEPX・需給調整市場・容量市場の収益源
系統用蓄電池の利回りを考えるうえで、まず確認したいのがどの市場から収益を得るのかです。
JEPX(日本卸電力取引所)を活用した取引では、電力価格の安い時間帯と高い時間帯の価格差が収益性に影響します。
一方、需給調整市場では調整力を提供することで収益機会を狙います。容量市場についても、条件を満たす設備であれば収益源の一つになる可能性があります。
複数の市場を組み合わせる場合には、それぞれから年間でどの程度の収益を見込んでいるのかを確認することが重要です。
特に、収益シミュレーションを見る際には、市場価格の想定が過度に楽観的になっていないかを確認しましょう。制度変更によって参加条件や収益構造が変わる可能性についても考慮する必要があります。
2.アグリゲーターの運用力
系統用蓄電池は、設備を設置するだけで収益が生まれるわけではありません。どのタイミングで充電・放電を行い、どの市場で取引するのかという運用が重要です。
この運用を担う事業者がアグリゲーターです。
アグリゲーターは蓄電池などのエネルギーリソースをまとめ、電力市場や需給調整市場などで運用します。
アグリゲーターの運用戦略によって収益が変わるため、単に高い想定収益を提示しているかどうかではなく、運用方針や実績、契約条件まで比較しましょう。
系統用蓄電池事業の利回りは市場前提や設備構成、運用方針によって大きく変わります。収益シミュレーションを比較したい場合は、複数のEPCやアグリゲーターの提案を確認することが重要です。チクデンでは、希望条件にあわせて最適な業者を紹介しています。
3.初期投資額
系統用蓄電池の初期費用は、蓄電池本体の価格だけではありません。
主な費用として、次のようなものがあります。
- 蓄電池本体
- PCS(直流と交流を変換する装置)
- EMS・BMS
- 受変電設備
- 設計・工事費
- 土地取得費や賃料
- 造成費
- 系統連系費用・工事負担金
- 申請費用
- 消防対応費
- ファイナンス関連費用
たとえば、蓄電池本体の価格が安くても、土地の造成や系統連系に大きな費用が発生すれば、総投資額は増加します。
反対に、補助金を利用できれば自己資金負担などを軽減できる可能性があります。ただし、補助金は必ず採択されるわけではありません。
利回りを比較するときは設備価格ではなく、事業を開始するまでに必要となる総投資額を把握することが重要です。
4.ランニングコスト
系統用蓄電池事業では、運転開始後にも継続的な費用が発生します。代表的なものとして、O&M費用、アグリゲーター費用、保険料などが挙げられます。
長期間運用する場合には、設備の劣化や故障、部品交換などについても想定しておく必要があります。
蓄電池は使用とともに性能が低下するため、導入時と同じ容量・性能が事業期間中ずっと続くとは限りません。
設備の停止期間が発生すれば、その間の収益機会が減少する可能性もあります。
そのため、収益シミュレーションでは売上だけを見るのではなく、事業期間中に発生する費用や設備劣化まで含めて確認することが重要です。
利回りを見る際に必ず確認したいポイント
提示された想定利回りを見る際は、数字の高さだけで判断しないことが重要です。同じ利回りでも、収益や費用の前提条件によって実現可能性やリスクは異なります。
ここでは、利回りを確認する際に押さえておきたいポイントを解説します。
収益シミュレーションの前提条件
系統用蓄電池事業の想定利回りを見る際、特に重要なのが収益シミュレーションの前提条件です。
資料に「想定利回り○%」と書かれていても、その数字だけでは妥当性を判断できません。
少なくとも、次の項目を確認しましょう。
- 収益前提:市場、価格、稼働率、充放電回数
- 運用・設備前提:劣化率、電力ロス、設備更新、残価
- 費用前提:O&M、アグリゲーター手数料、保険、税金
- 資金前提:補助金、借入額、金利、返済期間
特に確認したいのが、市場価格や稼働率などの想定です。収益を高く、費用や設備劣化を低く設定すれば、シミュレーション上の利回りは高く見えます。
一つのシナリオだけを見るのではなく、市場価格や稼働率などが変化した場合に収益性がどう変わるのかを確認すると、リスクを把握しやすくなります。
想定利回りの数字だけを信用しない
系統用蓄電池事業を比較する際、「利回り○%」という数字はわかりやすい指標です。しかし、想定利回りが高い案件ほど優れているとは限りません。
たとえば、一方が将来の市場価格や稼働率を高めに想定し、もう一方が保守的に設定していれば、設備条件が似ていても想定利回りには差が生じます。
また、同じ案件であっても、市場価格や収益の見通し、運用費、設備の劣化率などの設定が異なれば、シミュレーション結果は変わります。そのため、利回りを見る際は「何%なのか」だけではなく、なぜその利回りになるのか、どのような条件で算出されているのかを確認することが重要です。
具体的には、想定収益だけでなく初期投資額、運用費、設備劣化、契約条件、市場価格の変動など、計算の前提となっている項目を確認しましょう。
可能であれば、複数の事業者からシミュレーションや見積もりを取得して比較することも重要です。その際は、各社の利回りをそのまま比べるのではなく、できるだけ前提条件をそろえることで、収益予測の違いや各社の想定の妥当性を判断しやすくなります。
※参照:系統用蓄電システムの需給調整市場における収益性分析/経済産業省 三菱総合研究所
利回りを検討する際に確認したい事業者選び
系統用蓄電池事業の収益性は、設備だけでなく、設計・施工や市場運用、保守を担う事業者の選定にも左右されます。
想定利回りとあわせて、各社の実績や対応範囲、契約条件を確認することが重要です。
ここでは、EPC、アグリゲーター、O&Mの選び方を解説します。
EPC
系統用蓄電池事業では、EPCが設備設計、蓄電池やPCSなどの調達、施工、系統連系への対応などを担うことがあります。
EPCを比較するときは、価格だけで判断しないことが重要です。
系統用蓄電池の施工実績、対応できる設備規模、提携メーカー、PCS・EMSに関する知識、系統連系への対応経験などを確認します。
さらに、見積もりの内訳や工期、施工後の保守体制、アグリゲーターとの連携可否なども比較しておきたいポイントです。
初期費用を抑えることは利回り改善につながる可能性がありますが、必要な設備や保守を過度に削減すれば、長期運用時のリスクが高まる可能性もあります。
価格と設備仕様、施工品質、保証・保守体制をセットで判断することが重要です。
アグリゲーター
アグリゲーターは、系統用蓄電池の収益性を考えるうえで重要なパートナーです。
特に確認したいのは、収益シミュレーションと実際の運用方針がどのようにつながっているかです。
高い収益を想定しているという説明だけではなく、どの市場を利用し、どのような方法で収益化を目指すのかを確認しましょう。
また、収益配分や手数料、契約期間、解約条件も重要です。
複数のアグリゲーターを比較する際は、想定収益の高さだけではなく、運用実績や市場への対応範囲、リスクについての説明が十分かどうかも確認する必要があります。
- どの市場を中心に収益化するのか
- 運用実績はどの程度あるか
- JEPXでの取引方針はどうなっているか
- 需給調整市場や容量市場に対応しているか
- 収益配分や手数料はどうなっているか
- EMS(蓄電池の充放電を制御するシステム)と連携できるか
- 収益シミュレーションはどのような前提で作られているか
- 契約期間や解約条件はどうなっているか
- 収益が変動するリスクについて十分な説明があるか
O&M体制
O&Mとは「Operation & Maintenance」の略で、設備の運用管理や保守点検を意味します。
系統用蓄電池は長期間の運用を想定する設備であるため、導入後のO&M体制も事業性に影響します。
具体的には、定期点検、遠隔監視、故障時の復旧対応、劣化診断、消防・安全管理などの体制確認です。
また、トラブルが発生した際にメーカー、EPC、O&M会社のどこが対応するのかも明確にしておく必要があります。
O&M費用を低く抑えれば短期的にはコスト削減になりますが、十分な保守体制が確保されていなければ、設備停止が長期化するなどのリスクも考えられます。
費用だけではなく、対応範囲や緊急時の体制まで比較しましょう。
系統用蓄電池事業は利回りだけではなく総合的に判断することが重要
系統用蓄電池事業の利回りは、投資判断における重要な指標の一方で、利回りだけを見て事業性を判断することはできません。
系統用蓄電池の収益性は、JEPXや需給調整市場、容量市場などから得られる収益だけでなく、アグリゲーターの運用方針、初期投資額、O&Mを含むランニングコスト、設備劣化など多くの要因によって変わります。
特に「想定利回り○%」という数字を見る際には、収益シミュレーションの前提条件を確認することが重要です。
系統用蓄電池事業は案件ごとに土地、系統連系、設備構成、費用、運用条件などが異なります。そのため、1社の想定利回りや収益シミュレーションだけで判断するのではなく、複数の事業者から提案を受けて比較することが重要です。
チクデンでは、系統用蓄電池事業を検討している法人・投資家向けに、EPC、メーカー、アグリゲーター、O&M会社など、検討状況に応じた事業者をご紹介しています。
自社の案件ではどのような事業者に相談すべきかわからない場合や、複数の提案を比較したい場合は、まず土地、予算、希望する事業規模、運開時期などの条件を整理したうえで、気軽に相談してみてくださいね。

