低圧系統用蓄電池の系統連系申請|申込先・流れ・期間・費用を解説

公開日:2026年10月13日/更新日:2026年10月19日

「低圧の蓄電池を置きたいけれど、電力会社への申請はどこに出せばいいのだろう」
「申し込んでから動かせるようになるまで、どれくらいかかるのか知りたい」

低圧(50kW未満)の系統用蓄電池は、土地を管轄する一般送配電事業者(地域の送電線・配電線を持つ会社。関西電力送配電や東京電力パワーグリッドなど)に、充電用と放電用の2つの契約をセットで申し込みます。
運転を始めるまでの期間は場所で大きく違い、設計と工事だけなら数週間から数か月ですが、送電網の増強が要る地域では、工事完了まで4年から10年ほどかかる例もあります。

この記事では、申込みのあとに条件と費用がどう決まっていくかを整理したうえで、必要な書類と、申請が止まりやすい点を解説します。

記載の情報は2026年10月13日時点のものです。

低圧系統用蓄電池の仕組みや高圧との違いは、下記記事で解説しています。
関連記事:低圧系統用蓄電池とは?仕組み・高圧との違い・注目される理由と注意点を解説

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目次

低圧系統用蓄電池の系統連系申請とは

系統連系申請は、蓄電池を電力系統(電気を送る送電線・配電線の網)につなぐために、一般送配電事業者の承諾を得る手続きです。
系統用蓄電池は系統から電気をためて系統へ流す設備なので、電気を受ける側と流す側の両方の契約が要ります。

電気を売らない場合でも、流す側の契約は必要です。

申込みの方法と、案内での契約の呼び方は、一般送配電事業者ごとに違います。
主な2社は次のとおりです。

一般送配電事業者申込みの方法申し込む契約・同時に出す書類
関西電力送配電Web申込システム「たくそう君」接続供給契約+発電量調整供給契約(セットで申込み)。蓄電池設備の特別措置に関する確認書(措置を受けるかどうかにかかわらず提出する書類)も同時に提出
東京電力パワーグリッドWeb申込システム(申し込むのは発電契約者=系統へ流す電気の契約を結ぶ小売電気事業者)発電量調整供給契約(非FIT・FIP)。供給側の契約も必要

※2026年10月13日時点の各社の公式ページより

関西電力送配電のページでは、接続供給契約を「供給側」、発電量調整供給契約を「受電側」と呼んでいます。
これは一般送配電事業者から見た呼び方で、蓄電池から見ると、接続供給契約が電気を受ける側、発電量調整供給契約が電気を流す側の契約です。
ほかの地域は、土地を管轄する一般送配電事業者の案内で、申込みの方法と契約の組み合わせを確かめてください。

※参照:系統用蓄電池のお申込みについて/関西電力送配電
※参照:発電量調整供給契約(非FIT・FIP)低圧お申込みのご案内/東京電力パワーグリッド

低圧系統用蓄電池の申請から運転開始までの流れ

低圧の系統用蓄電池は、申込みから連系まで、おおむね次の8つの工程で進みます。

  1. 事前協議(任意。工事の設計について一般送配電事業者と相談する)
  2. 発電量調整供給契約の申込み
  3. 技術協議・連系検討(ほかの利用者や系統に影響がないかの検討)
  4. 設計・用地交渉
  5. 契約の承諾
  6. 工事費負担金の支払い
  7. 工事
  8. 連系開始

8つの工程を、条件と費用が分かる時点で4つの段階にまとめると、次の図のようになります。

低圧系統用蓄電池の申請の8つの工程を4つの段階にまとめた図。段階2で条件と工事費負担金の金額が分かり、段階3で契約の承諾と支払いをする
東京電力パワーグリッドの低圧(10kW以上)の案内をもとに作成(2026年10月時点)

低圧では、一般送配電事業者に払う工事費が分かるのは申し込んだあとです。
高圧は、申し込む前に「接続検討」という手続きで、つなげるかどうかと工事費の見通しを先に調べられます。
一方、低圧にはこの手続きがなく、任意の事前協議を除けば、最初の手続きが申込みです。
一般送配電事業者の工事費のうち申し込む側が負担する分(工事費負担金)の金額は、申込みのあと、工程4の設計が終わってから決まります。

契約が成立するのは工程5の承諾のときで、それまでは連系できるかどうかが決まっていない段階です。
機器の発注や土地の契約をどこまで先に進めるかは、この順番を踏まえて施工会社と決めることになります。

工程の区切り方や呼び方は、地域の一般送配電事業者によって違います。
たとえば関西電力送配電の案内は「申込みと確認書の提出」「書類の確認・技術検討」「申込みの受付完了」の3段階で、工事と連系の手続きはその後の個別の案内です。

※参照:発電量調整供給契約(非FIT・FIP)低圧 新設・増設・減設・設備変更に関するお申込み/東京電力パワーグリッド
※参照:発電等設備の分割対策に関するQ&A/資源エネルギー庁
※参照:系統用蓄電池のお申込みについて/関西電力送配電

低圧系統用蓄電池の申請から運転開始までの期間

申込みから運転開始までの期間は、同じ低圧でも土地の場所で大きく変わります。
工事が小さい地域なら数週間から数か月ですが、送電網の増強が要る地域は年単位です。

低圧系統用蓄電池の申請から運転開始までの期間の目安
東京電力パワーグリッド・関西電力送配電の案内をもとに作成(2026年10月時点)

設計と工事は数週間から数か月

目安は、工程4の設計が1週間〜2か月ほど、工程7の工事が規模に応じて1週間〜数か月ほどです(東京電力パワーグリッドの場合)。
一般送配電事業者の設備工事のために用地交渉が要る場合は、設計のあとにさらに数週間〜半年ほどが目安です(同じく東京電力パワーグリッドの場合)。

工事の日程は工事費負担金の入金を確認してから調整されるので、支払いが遅れると、その分だけ工事も後ろにずれます。

送電網の増強が要る地域は4〜10年

送電網の増強が必要な地域では、受付と技術検討にも時間がかかり、工事完了まで4年〜10年ほどが目安です(関西電力送配電の場合)。
関西電力送配電では、この地域の工事費負担金の請求も増強工事が終わってからです。

関西電力送配電は、変電所などの大きな増強工事が必要だと分かっている地域を地図で公開していて、その工期を「概ね4年~10年以上」としています。
土地を決める前に候補地を照らし合わせられるので、場所選びの段階で使える資料です。

低圧で連系できるとは限らない理由と、低圧系統用蓄電池のほかの注意点は、下記記事で解説しています。
関連記事:低圧系統用蓄電池とは?仕組み・高圧との違い・注目される理由と注意点を解説

申込みが集中している地域は長くなる

茨城県や関西のように申込みが集中している地域では、技術検討や手続きに通常より時間がかかります。

※参照:発電量調整供給契約(非FIT・FIP)低圧 新設・増設・減設・設備変更に関するお申込み/東京電力パワーグリッド
※参照:系統用蓄電池のお申込みについて/関西電力送配電

低圧系統用蓄電池の申請にかかる費用

申請で一般送配電事業者に払う主な費用は、工事費負担金です。
低圧では、この金額が申込みの段階では分かりません。

工事費負担金は、原則として設計が終わってから計算され、請求されます。
設計の内容と実際の工事に違いが出た場合、過不足の精算は工事のあとです。

関西電力送配電は、受給最大電力(系統へ流す電力の上限)49.9kWなど、条件をそろえたモデルケースの概算を公開しています。
ただし、実際の金額は申込み後の技術検討と工事設計の結果で個別に案内され、増強が要るエリアでは請求が増強工事のあとになります。

蓄電池本体や施工会社の工事にかかる費用は、工事費負担金とは別です。

低圧系統用蓄電池の本体の価格と、費用の内訳・維持費は、下記記事で解説しています。
関連記事:低圧系統用蓄電池の価格はいくら?公開例と費用の内訳・維持費を解説

※参照:発電量調整供給契約(非FIT・FIP)低圧 新設・増設・減設・設備変更に関するお申込み/東京電力パワーグリッド
※参照:系統用蓄電池のお申込みについて/関西電力送配電

低圧系統用蓄電池の申請に必要な書類

申請の書類は一般送配電事業者ごとに決まっていて、様式も違います。
共通して求められるのは、設備のつなぎ方と機器の性能が分かる資料です。

主な書類は次のとおりです。

書類何が分かるか求めている会社
単線結線図電気の方式、つなぐ位置、計量点、PCS(直流と交流を変換する装置)と蓄電池のつながり関西電力送配電、東京電力パワーグリッド
引込付近図・平面図(配置図)蓄電池・PCS・受電設備などの設置場所関西電力送配電
蓄電池・PCSの仕様書PCSの定格出力と変換効率、蓄電池の容量・充放電効率・制御方式関西電力送配電、東京電力パワーグリッド(PCSが認証品なら認証証明書の写し)
出力制御機能付PCS等の仕様確認依頼書出力を抑える機能とPCSの仕様関西電力送配電、東京電力パワーグリッド
蓄電池設備の特別措置に関する確認書特別措置の適用を希望するかどうか(希望しない場合も提出)関西電力送配電
低圧配電線への系統連系協議依頼票系統からの充電と、系統への放電の有無東京電力パワーグリッド
公図・謄本設置する区画が隣接している場合の土地の状況関西電力送配電

※2026年10月13日時点の各社の公式ページより

様式は更新されることがあります。
たとえば東京電力パワーグリッドは、2026年5月15日以降の申込みに、充放電の有無を書く欄を加えた新しい依頼票を求めています。
出力制御機能付PCS等の仕様確認依頼書も8月31日に差し替えられ、9月8日以降は最新でない様式が差し戻しの対象です。
申し込む直前に、各社のページで最新の様式を確かめてください。

※参照:系統用蓄電池のお申込みについて/関西電力送配電
※参照:低圧発電側の申込書類について/東京電力パワーグリッド
※参照:低圧配電線への系統連系技術協議依頼票(低圧発調契約)について/東京電力パワーグリッド
※参照:発電量調整供給契約(非FIT・FIP)低圧 新設・増設・減設・設備変更に関するお申込み/東京電力パワーグリッド

低圧系統用蓄電池の申請を担う人

低圧の申請では、申込みを出す人と、書類や工事を担う人が別です。
自社でどこまで進め、どこから頼むかは、次の3つを見て決めます。

申込みは発電契約者が出す

東京電力パワーグリッドの地域では、申込みを出すのは小売電気事業者(発電契約者)です。
発電契約者は、蓄電池から系統へ流す電気について、一般送配電事業者と発電量調整供給契約を結ぶ事業者です。
売電をしない形で発電契約者と契約する場合も、申込みは発電契約者から出します。

そのため、申請の前に、発電契約者になる事業者を決めておく必要があります。

事前協議と工事は施工会社が窓口になれる

工程1の事前協議は、施工会社(電気工事店)も行えます。
工事と連系の日程も、施工会社や設備の持ち主と一般送配電事業者の間で調整する流れです。

書類の作成や技術協議の対応を、施工会社や申請の代行を受ける会社に頼む形もあります。
頼むときは、事前協議・書類・技術協議・工事のどこまでを受けてもらえるかを、最初に確かめてください。

相談の前に土地と機器の情報をそろえる

施工会社や一般送配電事業者に相談する前に、そろえておきたい情報は次の3つです。

  • 土地の住所と、公図・謄本(隣接する区画がある場合、関西電力送配電では提出を求められる)
  • 蓄電池とPCSの候補
  • 運用を任せるアグリゲーター(複数の蓄電池をまとめて電力市場で運用する事業者)の候補

アグリゲーターは会社ごとに受け付ける機器や条件が違うため、機器の候補と合わせて確かめておくと、相談が進めやすくなります。

低圧の蓄電池を受け付けるアグリゲーターの条件は、下記記事で比較しています。
関連記事:低圧系統用蓄電池に対応するアグリゲーター一覧|対応市場・受付条件・選び方を解説

※参照:発電量調整供給契約(非FIT・FIP)低圧お申込みのご案内/東京電力パワーグリッド
※参照:発電量調整供給契約(非FIT・FIP)低圧 新設・増設・減設・設備変更に関するお申込み/東京電力パワーグリッド

チクデンでは、次のようなご相談に対応しています。

  • 低圧の系統用蓄電池の申請を任せられる施工会社を探したい
  • 候補地での申請を相談できる会社を紹介してほしい
  • 機器・アグリゲーター・申請をまとめて相談したい

低圧系統用蓄電池の申請が止まりやすいポイント

申請が止まったり、やり直しになったりする主な理由は、次の4つです。

低圧系統用蓄電池の申請が止まりやすい4つのポイント
関西電力送配電・東京電力パワーグリッド・資源エネルギー庁の公表資料をもとに作成(2026年10月時点)

1.書類の不足と記載の不備

書類に不足や不備があると、補正が終わるまで受付の手続きが進みません。
必要な書類がない申込みは、返却されることもあります(東京電力パワーグリッドの場合)。

申し込む前に、次の3つを確かめておきます。

  • 必要な書類がそろっているか
  • 電気を受ける側と流す側の2つの契約がそろっているか
  • 申込みのエリアが増強エリアかどうか

2.古い様式での申込み

様式が差し替えられたあとに古い様式で出すと、差し戻されることがあります。
たとえば東京電力パワーグリッドでは、2026年9月8日以降、古い出力制御機能付PCS等の仕様確認依頼書での申込みは差し戻しの対象です。
様式の更新については、必要な書類の章を参照してください。

3.低圧分割と判断される計画

低圧分割は、本来は1つの大きな設備を、50kW未満の複数の設備に分けて申し込むことです。
分割にあたるかどうかは、一般送配電事業者が技術検討の審査のときに判断します。
系統用蓄電池(蓄電所)も、低圧分割を防ぐ対策の対象に入っています。

判断の条件は設置者が同じことだけではなく、土地の地権者(土地を所有する人や使う権利を持つ人)が同じことも対象です。
名義を分けていても、実態として1つの事業用地を分けていると見られれば同じ設置者とみなされ、法人の登記の証明書などの提出を求められる場合があります。

低圧の土地の条件と、低圧分割の判断のされ方は、下記記事で解説しています。
関連記事:低圧系統用蓄電池の土地に必要な広さ・設置の条件と土地を貸す場合の注意点

4.高圧相当の設備を低圧に絞った申込み

高圧に相当する蓄電池を、PCSなどで入出力を低圧の範囲に制限して申し込む場合、関西電力送配電は制限していることと制限値を、申込みの「工事に関する連絡事項」に必ず書くよう求めています。
記載例として示されているのは「PCSにより、入出力を49.5kWに制限しています」という書き方です。

※参照:系統用蓄電池のお申込みについて/関西電力送配電
※参照:新増設申込(低圧発電)における必要書類について/東京電力パワーグリッド
※参照:発電量調整供給契約(非FIT・FIP)低圧 新設・増設・減設・設備変更に関するお申込み/東京電力パワーグリッド
※参照:発電等設備の分割対策に関するQ&A/資源エネルギー庁

低圧系統用蓄電池の申請に関するよくある質問

低圧でも接続検討の申込みは必要ですか?

低圧は、接続検討の申込みの対象外です。
接続検討は高圧以上の手続きで、低圧は申込みから始まります。
申し込む前に、工事の設計について一般送配電事業者と任意で事前協議ができる場合もあります。

高圧以上で連系するときの接続検討の流れや費用、件数の上限は、下記記事で解説しています。
関連記事:系統用蓄電池の接続検討|申込みの流れ・費用・期間と件数上限

申請の結果が出る前に機器を買ってもよいですか?

購入の時期は、申請に出す機器の仕様が一般送配電事業者の要件に合うかを施工会社と確かめたうえで決めてください。
申込みでは、PCSや蓄電池の仕様書と出力制御機能付PCS等の仕様確認依頼書を出し、技術協議でほかの利用者や系統への影響が確かめられます。

低圧系統用蓄電池の申請についてまとめ

申し込む前に、土地を管轄する一般送配電事業者の案内で、申し込む契約の組み合わせと最新の様式を確かめてください。
条件と工事費負担金の金額は申込みのあとに決まるため、機器の発注や土地の契約をどこまで先に進めるかは、施工会社と決めておきます。
候補地が送電網の増強が要る地域に入っていないかは、関西電力送配電の地図のように、土地を決める前に確かめられる資料もあります。

低圧系統用蓄電池の仕組みと、申請のほかに確かめておきたい注意点は、下記記事で解説しています。
関連記事:低圧系統用蓄電池とは?仕組み・高圧との違い・注目される理由と注意点を解説

低圧の系統用蓄電池の申請や、施工会社・アグリゲーターの選び方で迷っている方は、チクデンにご相談ください。
土地・権利をお持ちの方のご相談も受けています。

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