【BESSとは?】蓄電池・ESSとの違いや系統用蓄電池との関係も解説

BESSは、日本語で「バッテリーエネルギー貯蔵システム」とも呼ばれています。

蓄電池本体だけを指すのではなく、BMS(バッテリー管理システム)やPCS(パワーコンディショナー)、EMS(エネルギー管理システム)、冷却・防災設備などを組み合わせたシステム全体を意味します。

近年は再生可能エネルギーの普及を背景に、系統用蓄電池もBESSの代表的な活用例として注目されています。

本記事では、BESSの基本的な意味や蓄電池・ESSとの違いなどをわかりやすく解説します。
>>BESSとは

目次

BESSとは

BESSとは

近年は再生可能エネルギーの導入拡大や電力需給の安定化を背景に、系統用蓄電池事業でBESSという名称を目にする機会が増えています。

PCSやEMS、BMS、安全設備、運用体制なども事業性に大きく影響するため、設備全体の構成や役割を理解することが重要です。

BESSはBattery Energy Storage Systemの略称

BESSはBattery Energy Storage Systemの略称で、「バッテリーエネルギー貯蔵システム」と訳されます。

またBESSは蓄電池本体だけではなく、電力を効率的かつ安全に蓄え、制御・運用するために必要な設備まで含めたシステム全体を指します。
そのため、単なる蓄電池製品とは意味が異なります。

BESSは太陽光や風力発電で生じる電力のばらつきを調整し、再生可能エネルギーを無駄なく活用する役割を担います。
電力の変動を調整し、安定した電力供給を実現するため、今後さらなる普及が見込まれています。
参照:系統用蓄電池とは?注目される背景やビジネスモデル、メリット・デメリットを解説

BESSの正しい読み方

BESSの読み方は「ベス」です。

英語の頭文字を一文字ずつ読むのではなく、「ベス」と発音するのが一般的です。
国内のメーカーやEPC、アグリゲーターなどでも同様の読み方が用いられています。

なお、海外の技術資料やメーカー資料でも「BESS」という略称が一般的であり、系統用蓄電池や産業用蓄電池に関する資料では頻繁に登場します。

BESSは蓄電池本体ではなくシステム全体を指す

BESSは蓄電池セルや蓄電池ラックだけを意味するものではありません。

一般的には、次のような設備を組み合わせたシステム全体を指します。

  • 蓄電池ラック
  • BMS(バッテリー管理システム)
  • PCS(パワーコンディショナー)
  • EMS(エネルギー管理システム)
  • 冷却設備
  • 消火・防災設備
  • 監視システム
  • 受変電設備や通信設備

また性能の高い蓄電池セルであっても、PCSとの相性やEMSの制御性能が十分でなければ、本来期待できる性能を発揮できない場合があります。

そのためBESSを比較する際は蓄電池メーカーだけではなく、設備構成や保守体制、システム全体の完成度まで確認することが大切です。

BESSと蓄電池・ESSとの違い

BESSとの違い

BESSは蓄電池やESSなどと混同されやすい用語ですが、それぞれ指す範囲が異なります。

事業検討では用語の違いを理解しておくことで、メーカー資料や提案書の内容も把握しやすくなります。

BESSと蓄電池の違い

蓄電池とは、電気を蓄えたり放電したりする電池本体を指します。

一方で、BESSは蓄電池に加えてPCSやEMS、BMS、安全設備、監視設備などを含めたシステム全体を意味します。

例えば、リチウムイオン電池はBESSを構成する部品の一つに過ぎません。
実際の系統用蓄電池事業では、蓄電池単体では運用できず、多数の設備を組み合わせて初めて事業として機能します。

そのため、設備を比較する際は蓄電池の容量やメーカーだけで判断せず、システム全体の構成や保守体制まで確認することが重要です。

参照:再エネの安定化に役立つ「電力系統用蓄電池」|経済産業省資源エネルギー庁

BESSとESSの違い

ESSはEnergy Storage Systemの略称で、エネルギーを蓄えて必要なときに取り出すシステム全般を指します。

揚水発電や蓄熱、圧縮空気などを利用するエネルギー貯蔵システムも、広い意味ではESSに含まれます。

そのうち、バッテリーを利用して電力を蓄えるシステムがBESSです。
つまり、BESSはESSの一種という関係にあります。

系統用蓄電池とBESSの関係

系統用蓄電池は、BESSを送配電網に接続し、電力系統との間で充放電を行う設備です。

BESSが蓄電池やPCS、EMSなどを含めた「システム」を表すのに対し、系統用蓄電池は、BESSを電力系統に接続して利用する「用途・接続形態」を表します。

系統用蓄電池は、卸電力市場や需給調整市場、容量市場などでの活用に加え、再生可能エネルギーの出力変動への対応や電力系統の安定化にも利用されます。

BESSを構成する主要設備

BESSは、蓄電池だけで構成される設備ではありません。
蓄えた電力を安全かつ効率的に運用するために、さまざまな設備や制御システムを組み合わせて構成されています。

各設備にはそれぞれ異なる役割があり、一つでも適切に機能しなければ、性能の低下や安全性への影響につながる可能性があります。

蓄電池ラック

蓄電池ラックは、複数の蓄電池セルをまとめたモジュールやパックを収納する設備です。

BESSの中核となる設備であり、容量や出力、寿命、安全性などに大きく関わります。

系統用蓄電池では、一般的にリチウムイオン電池を搭載したラックを複数組み合わせ、必要な容量を確保します。
また、ラック単位で異常を監視できるよう設計されている製品も多く、設備全体の安全性向上にもつながっています。

BMS(バッテリー管理システム)

BMS(Battery Management System)は、蓄電池の状態を監視・制御するシステムです。

各セルの電圧や電流、温度などを常時監視し、過充電や過放電、過熱などの異常を防ぐ役割があります。
また、セルごとの状態を均一に保つことで、蓄電池全体の性能や寿命を維持することにもつながります。

BMSは、安全性を確保するために欠かせません。
万が一異常を検知した場合は、充放電を停止するなどの制御を行い、重大なトラブルの発生を防ぎます。

PCS(パワーコンディショナー)

PCS(Power Conditioning System)は、蓄電池の直流電力と電力系統の交流電力を相互に変換する設備です。

蓄電池には直流で電気が蓄えられますが、送配電網や施設で利用される電力は交流です。
そのため、充電時は交流を直流へ、放電時は直流を交流へ変換するPCSが必要になります。

また、PCSは単なる電力変換装置ではありません。
電圧や周波数を制御し、安定して電力を供給する役割も担っています。

そのため、変換効率や制御性能は、BESS全体の運用効率にも影響します。

EMS(エネルギー管理システム)

EMS(Energy Management System)は、BESS全体の充放電を最適に制御するシステムです。

電力需要や市場価格、再生可能エネルギーの発電状況などの情報をもとに、「いつ充電し、いつ放電するか」を管理します。
系統用蓄電池では、運用方針に沿って効率的な充放電を行うための重要な役割を担っています。

またEMSはBMSやPCS、監視システムと連携しながら設備全体を制御するため、BESSの運用効率や安定性を左右する中核システムの一つでもあります。

冷却システム

蓄電池は充放電を繰り返すと熱を発生します。
そのため、適切な温度を維持するための冷却システムが必要です。

温度が高くなり過ぎると蓄電池の性能や寿命が低下するだけでなく、安全性にも影響を及ぼす可能性があります。
逆に低温環境では充放電性能が低下してしまいます。

空調設備や液冷システムなどを用いて適切な温度管理を行うことで、年間を通じて安定して運用できます。

消火・防災設備

安全対策において、消火・防災設備も重要です。

万が一、蓄電池内部で異常が発生した場合に備え、煙や熱を検知するセンサーや自動消火設備などが設置されます。
また設備によっては防火区画や排煙設備などを組み合わせることで、安全性を高めています。

系統用蓄電池事業では長期間にわたり設備を運用するため、安全設計や防災対策の内容も事業者選定時の重要な確認項目です。

監視システム

監視システムは、BESS全体の稼働状況を継続的に遠隔監視するための設備です。

蓄電池やPCS、EMSなどから取得した運転データをリアルタイムで確認し、異常が発生した際には速やかに通知します。
これによりトラブルの早期発見や迅速な対応が可能になります。

また運転データを蓄積・分析することで、設備の劣化傾向を把握することも可能です。

BESSを長期にわたって安定運用するためには、異常発生時の連絡体制、現地対応までの時間、交換部品の供給体制など、O&Mの具体的な対応範囲も確認する必要があります。

BESSの主な用途

BESSは蓄えた電力を必要なタイミングで活用できることから、電力需給の安定化や再生可能エネルギーの有効活用、施設のエネルギーマネジメントなど、さまざまな用途で導入が進んでいます。

近年は再生可能エネルギーの導入拡大や電力市場の整備を背景に、系統用蓄電池としての活用が特に注目されています。
一方で工場や商業施設などでは、自家消費の最適化や非常用電源として導入されるケースもあります。

系統用蓄電池としての活用

BESSの代表的な用途が、系統用蓄電池としての活用です。

系統用蓄電池は、送配電網に接続し、電力の需給状況に応じて充放電を行います。
電力需要が少ない時間帯に充電し、需要が高まる時間帯に放電することで、電力系統の安定運用に貢献します。

近年は再生可能エネルギーの普及に伴い、電力需給を調整する役割がこれまで以上に重要になっています。
そのため系統用蓄電池は、電力インフラを支える設備として導入が進んでいます。
参照:今後の再生可能エネルギー政策について|資源エネルギー庁

再生可能エネルギーの出力変動対策

太陽光発電や風力発電は、天候や時間帯によって発電量が変動します。

ここにBESSを組み合わせることで、発電量が多い時間帯に余った電力を蓄え、不足するタイミングに放電できるため出力変動を緩和できます。

また一時的に発生する余剰電力を有効活用しやすくなることから、再生可能エネルギーの導入拡大を支える技術としても期待されています。

電力市場・需給調整市場での運用

BESSは、電力の価格変動や安定供給を利用したビジネスシーンでも広く導入されています。

①JEPX(スポット市場)での活用
JEPX(スポット市場)では、翌日に受け渡す電力を30分単位で取引します。
BESSでは市場価格が比較的安い時間帯に充電し、高い時間帯に放電することで、価格差による収益を狙う運用があります。

②容量市場での活用
容量市場は、将来必要となる電力の供給力をあらかじめ確保するための市場です。
蓄電池も一定の要件を満たせば参加でき、確保した供給力に応じて対価を受け取れます。
ただし、実需給年度には供給力を維持する義務があり、要件を満たさない場合はペナルティーが発生する可能性があります。

③需給調整市場での活用
需給調整市場は、発電量と電力需要のずれを調整するための調整力を取引する市場です。
BESSは商品の要件に応じて充放電出力を変化させ、系統の安定化に必要な機能を果たすことで対価を受け取ります。

こちらの記事でも各市場について詳しくまとめているため、ぜひご覧ください。

工場や施設でのピークカットや非常用電源

BESSは工場や物流施設、商業施設などでも活用されています。

電力使用量が多い時間帯に蓄電池から放電し、最大需要電力を抑えることで、契約条件によっては電気料金の基本料金を削減できる可能性があります。

また比較的電力需要が少ない夜間に充電し、昼間の稼働時間帯に消費することで、電力コストを削減するピークシフトにも活用可能です。

さらに事業継続計画(BCP)の一環として、災害による停電時の非常用電源として導入されるケースもあります。

BESSの関連メーカー

BESS関連メーカーには、蓄電池やPCS、EMSを製造する企業や、システム全体を手がける企業などがあります。

国内の主なBESS関連メーカー
海外の主なBESS関連メーカー

国内の主なBESS関連メーカー

国内では、蓄電池や電力機器の開発・製造を手がける企業が蓄電池関連事業に参入しています。
代表的なメーカーは次のとおりです。

メーカー 主な製品・サービス
パワーエックス蓄電システムの設計・製造、系統蓄電所ソリューション
GSユアサ蓄電池、産業用蓄電システム
ニデックPCS、蓄電システム
CONNEXX SYSTEMS株式会社産業用蓄電システム、大型コンテナ型蓄電システム

また各社で受けられるサービスの範囲は異なるため、導入時には個別確認が必要です。

海外の主なBESS関連メーカー

海外には、電池セルやPCS、制御システム、BESSのシステム統合などを手がける企業があります。
代表的な企業として、下記が挙げられます。

メーカー 主な製品・サービス
CATL  電池セル、蓄電システム
BYD電池セル・モジュール、蓄電システム
SungrowPCS、蓄電システム
Tesla大型蓄電システム
FluenceBESSのシステム統合、制御ソフトウェア、運用サービス

海外メーカーは豊富な導入実績を持つ企業が多い一方で、国内での保守・サポート体制や対応可能なサービス範囲はメーカーによって異なります。

そのためメーカー名だけで判断するのではなく、サポート体制も確認しましょう。

またこちらの記事でも系統用蓄電池のメーカーをご紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

BESSは蓄電池メーカーだけでなく、PCS・EMS・EPC・アグリゲーターなどの組み合わせによって、設備構成や運用方法が異なります。

チクデンでは、系統用蓄電池事業を検討している法人・投資家向けに、メーカーやEPC、アグリゲーターなど複数の事業者をご紹介しています。
「どのメーカーを選ぶべきかわからない」「複数社の提案を比較したい」という方は、お気軽にご相談ください。

BESSに関するQ&A

BESSには読み方や蓄電池との違い、系統用蓄電池との関係について多くの疑問が寄せられています。

この章ではよくある質問と回答をまとめたため、事業検討を進める前の基礎知識としてぜひ参考にしてください。

BESSの読み方は?

BESSは「ベス」と読みます。

海外メーカーの資料や電力業界の技術資料では「BESS」という略称が一般的に使用されており、日本でも系統用蓄電池や産業用蓄電池に関する資料で見かける機会が増えています。

BESSと蓄電池の違いは?

BESSと蓄電池は混同されがちですが、意味は異なります。

蓄電池は、電気を蓄えたり放電したりする電池本体を指します。
一方、BESSは蓄電池を安全かつ効率的に運用するための、設備や制御システムまで含めたシステム全体を意味します。

主な違いは次のとおりです。

スクロールできます
蓄電池BESS
定義電気を蓄える電池本体や電池設備を指す蓄電池・PCS・EMS・BMS・監視設備などを含むシステム全体を指す
主な機能電気を蓄え、放電する蓄電や電力変換、充放電制御、監視、安全管理を行う

系統用蓄電池事業では、導入を検討する対象は「蓄電池」ではなく「BESS」であるケースがほとんどです。

そのためメーカーの性能だけではなく、PCSやEMSの仕様、保守体制、運用方法まで含めて比較することが重要です。

BESSとESSの違いは?

ESSはEnergy Storage Systemの略称で、「エネルギー貯蔵システム」を意味します。

一方、BESSはBattery Energy Storage Systemの略称で、ESSの中でも蓄電池を利用したシステムを指します。

  • ESS:エネルギーを蓄えるシステム全般
  • BESS:蓄電池を利用したエネルギー貯蔵システム

つまり、BESSはESSの一種という関係です。

事業検討時にはESSという広い概念ではなく、BESSとしてどのような設備構成や運用方式を採用するかを確認すると、比較検討がしやすくなります。

系統用蓄電池もBESSに含まれる?

はい、系統用蓄電池はBESSの代表的な活用例の一つです。

BESSを送配電網(電力系統)に直接接続して、運用する仕組みや事業のことを「系統用蓄電池」と呼びます。

系統用蓄電池事業では、蓄電池だけを設置すれば良いわけではありません。
PCSやEMS、監視システム、防災設備などを組み合わせたBESSとして設計・構築し、電力市場や需給調整市場などで運用します。

BESSに強いメーカー企業は?

BESSは国内外のさまざまなメーカーによって、開発・製造されています。

国内主要メーカー株式会社パワーエックス・GSユアサ株式会社・ニデック株式会社・CONNEXX SYSTEMS株式会社など
海外主要メーカーCATL・BYD・Sungrow・Fluenceなど

メーカーごとに採用する蓄電池やシステム構成、保証内容が異なるため、総合的な比較が重要です。

BESS関連銘柄とは?

BESS関連銘柄とは、蓄電池システムの開発・製造・施工・運用に関わる企業の株式を指す総称です。
主に以下のような事業を展開する企業が挙げられます。

  • 蓄電池メーカー
  • PCSメーカー
  • EMS関連企業
  • EPC(設計・調達・施工)会社
  • アグリゲーター
  • O&M会社
  • 電力機器メーカー

投資判断を行う際は、各社のIR情報や決算資料などを確認してください。

BESSのまとめ

BESSは蓄電池にBMSやPCS、EMS、冷却・消火設備、監視システムなどを組み合わせた蓄電システムです。

蓄電池が電気を蓄える設備そのものを表すのに対し、BESSは電力の変換や充放電の制御、安全管理、運転監視までを含むシステム全体を表します。

系統用蓄電池もBESSの活用方法の一つであり、卸電力市場や需給調整市場、容量市場での運用、再生可能エネルギーの出力変動への対応などに利用されます。

導入時は蓄電池の容量や価格だけでなく、PCS・EMSの仕様やシステム全体の効率、安全対策、保証内容、故障時の対応体制まで比較することが重要です。

BESSは蓄電池単体ではなく、PCS・EMS・BMS・保守体制などを含めたシステム全体で比較することが重要です。

チクデンでは、系統用蓄電池事業を検討している法人・投資家向けに、メーカー・EPC・アグリゲーターなど複数の事業者をご紹介しています。
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